見出し画像

JOSIF KRICHELI傑作選(11)

(14) Josif Kricheli (feenschach 1969)

H#2 2sols. (5+10)

 ヘルプメイトにおいてKRICHELIの作品群は決して無視できない。彼が系統的にヘルプを作り始めたのは1962-63年で、それは彼を有名にした長手数のオーソドックスよりずっと古い(強い印象を与えるそれらのオーソドックスが作り出されたのは、1970年あたりからである)。
 彼はヘルプにおける一般的なテーマをほぼ全て手掛け、更に特殊なテーマにも挑戦した。(14)は、彼が他の作家とは違った形で発展させたアイデアを表現しており、最終的にそれはヘルプの分野で人気のあるテーマとなった。Somovのテーマである。

1.Qa3! Sc5! 2.Rg4 Se6# (1...Sd2? 2.Bf6 Sc3? 3.Qxf3!, 1...Sd4? 2. ??)
1.Qa2! Sd2! 2.Bc6 Sf3# (1...Sc5? 2.Rg4 Se6? 3.Qxe6!, 1...Sd4? 2. ??)

 Somov checkmates (theme B2)を含む素晴らしいODTであり、黒Qによる'anti-dual' unpin、そして白Sの正確な動き。

 この図では、最後に白Sに利きを遮断される白R/Bは詰に参加していない、つまりそれは、詰め上がり図において取り除くことが可能である。実際、その駒は遮断されることに意味がある。それは美学や「白の効率性」とは関係がなく、一般的には他の駒と一緒に詰をアシストしているのだ。しかしながら、それは単なる慣習であることを忘れるべきではない。そして、KRICHELIのような偉大な作家が(14)と同様の方向性について何度も警告していたという事実は、チェスプロブレムについて考える為の一つのきっかけとして興味深い。

(15) Josif Kricheli (Sahovski Glasnik 1963, 1st Prize)

H#3* (5+7)

 次の作品は、この作者が初めて手掛けたヘルプメイトのうちの一つであり、最もよく知られた作品の一つでもある。

Set : 1...Bd3 2.Sf5 Bb1 3.Sg7 Bd2# (モデルピンメイト)
1.Sf4 Bd2 2.Kh5 Bc1 3.Sg6 Be2# (カメレオンエコー)

 明快な戦略を持った、白黒双方のハーフピン(これはH#2で表現できるので、H#3の作例は非常に少ない)、黒のテンポムーブはなく、メレディスになっている…偉大な古典だ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?