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温故知新(詰パラ349号)

 今日は詰パラ349号(昭和60年3月号)を読んでみることにしよう。学校を覗いてみると、私好みの短編が2作ある。早速紹介しよう。

           金子哲哉

(詰パラ 昭和60年3月号)

55飛、14玉、54飛、同香、55桂まで5手詰。

開き王手で移動した飛が、直後の局面で邪魔駒になっている。非常にセンスの良い超短編。

           小林敏樹

(詰パラ 昭和60年3月号)

83角、58玉、56龍、57金、47龍、同金、94角成迄7手詰。

手順構成が同じなのでどうしても中原作を思い出してしまうが、金を中合で出すところには作者の矜持を感じる。

 そして、大学に名作を発見!

           藤本 和

(詰パラ 昭和60年3月号、第24期看寿賞長編賞)

17香、イ16金、同香、ロ15桂、同香、ハ14歩、同香、ニ同馬、33龍、ホ23飛、同龍、ヘ同馬、16飛、ト15銀(=図a)、同飛、チ14角、24金、 同馬、22銀、リ同玉、33金、同馬、同銀成、同玉、45桂、ヌ同歩、44角、23玉、24歩、ヲ32玉、35飛、41玉、42金、同玉、33角成、41玉、51馬、同玉、31飛成、41香、63桂、61玉、71と、52玉、44桂、同香、51龍迄47手詰。

(変化)
イ15合は25桂、14玉、13金以下。
イ16歩合は12金、24玉(12同玉は16香、14合、同香以下。また12同
馬は33龍以下)、15金、同玉、35龍以下。(この15金を消すために金中合をしている)
イ16飛合は同香、15合、12金、14玉、13飛以下。
ロ15歩合は12金、14玉、15香、24玉、25歩、同玉、16金以下。(桂合だと 25歩のところが16桂となって逃れ)
ハ24玉は16桂、25玉、17桂、26玉、25金以下。
ニ24玉は15金、同玉、35龍以下。(14同玉も同様)
ホ他合は12金、同玉、22金以下簡単。
ヘ同玉は33飛、24玉、15金以下。
ト14合は25桂以下。
ト15歩合は25桂、14玉、13金以下。(銀合は26に利きを作る為)
ト15飛合は同飛、14銀(14歩は24金、同馬、25桂、同馬、23金以下)、同飛、同馬(同玉は16飛、15銀、25金、同玉、36銀以下)、23金、 同馬、16飛、15銀(=図b)、25桂、14玉、13金、25玉、36銀以下。
ト15角合は同飛、14合、12金、同玉(同馬は24金、同玉、35角以下)、24桂、13玉(同馬は22金、同玉、31角以下)、12金以下。
チ14歩合は24金、同馬、25桂、同馬、23金以下。
チ14銀合は作意どおり進んで41への利きがないため早詰。
リ12玉は13金、同馬、同銀成、同玉、35角、24合、25桂以下。
ヌ34玉は26桂、23玉、34角、32玉、33歩以下。
ヲ同玉は16桂、23玉、33金、13玉、35角以下。

 16手目迄に既に6種の合駒が飛び出すという、これ以上無い程密度の高い序の合駒ブロックが凄い(変化で度々現れる12金も、なかなかの妙手だ)。又、僅かに持駒のうち金が一枚銀に代わっていることだけで、15飛合の変化と作意14手目を切り分けられたのは奇跡に近い。氏の代表局であると同時に、昭和の神局の一つに数えられるべき名作。

           図a(作意14手目の局面)

           図b(14手目飛合の変化における局面)

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