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温故知新(詰パラ334号)

 今日は334号(昭和58年12月号)を読んでみることにしよう。期末なので短コンがあるのだが、その中から赤羽さんのを引用してみよう。

           赤羽 守

(詰パラ 昭和58年12月号)

66香、54玉、65金、同馬、74龍、55玉、44龍、同玉、45金迄9手詰。

 大駒が乱舞するイメージの強い氏の作品群の中では本作は比較的派手さを抑えた作に入るが、それでも65金-74龍の感触はなかなかのもの。
この年に傑作を続けざまに発表したため有名税を取られたらしく、惜しくも2位だった(ちなみに首位は、有吉澄男氏) 。

 続いて創棋会報告を見てみると、上田さんの小品が載っている。

           上田吉一

(詰パラ 昭和58年12月号)

31角成、33玉、35飛、24玉、13角、14玉、23銀、同玉、24歩、14玉、
41馬、32金、同馬、同銀、15歩、13玉、33飛成、同銀、23金迄19手詰。

 たった盤面6枚ながら、綺麗に纏まっている。
「極光21」の解説で作者は「33桂の意味が分かった人は『何!この作り方は』と怒るだろう」と書いているので、早速意味を考えてみたが、何のことはない、初手23飛以下の余詰消しだ(初手33角打でも詰む)。この配置に対して怒る人はいないような気がするが…。

 あと、大学院の結果稿の山本氏の言葉がめちゃくちゃ面白いので、これも引用しよう。

☆添川公司という名前を初めて知ったのは、確か三年前の夏だったと思う。第一回東西交流と称して、申棋会の連中と詰研の例会に押しかけたときのことである。彼はレポート用紙の束を抱えて隅の方に座っていた。そのレポート用紙に作品らしきものを発見した私は、彼に声をかけた。「それ、あんたの作品?良かったらワシが見たろか?」もちろん私は、新人に親切なアドバイスと指導をしてあげようと思ったのである。(知らんというのは全く強いものだ)
☆ところが、作品を見て驚いた。どれもこれも凄い作品ばかり。三百何十手だとか、二百ウン手という作品がポンポン飛び出してくる。つい最近塚田賞を取った「妖精」(近将58年3月)なんかもあったと思う。そういうのが二十作ほど、無造作にゴム印で押してあるのだ。驚きを通り越してあきれかえってしまった。しかし、このまま引き下がっては山本君の男がすたる。ポーカーフェイスを装って必死の反撃に出た。「うーん、この作品なんかは山本昭一の名前で出しても通るなあ」
☆それから現在に至る彼の活躍については、皆さんもよくご存知のことと思う。伊藤正氏と並んで、今もっとも注目を集めている作家なのである。

 更にこの後、伊藤さんについても触れていて、伊藤さんにも「わからない事があったら何でも教えてあげよう」と言ったら「この部分の逆算がどうしても旨くいきません」と「天女」の原図を見せられたというエピソードも書いてある。うーん、凄い話だなあ…。

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