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市島啓樹の12局(2)

           (3)市島啓樹

3 市島啓樹(角の最遠移動)

          (近代将棋 平成7年1月号、第85期塚田賞)

29飛、イ58玉、49角、59玉、68銀、ロ同と、94角、48玉、66馬、同歩、 38金、同玉、83角成、48玉、47馬迄15手詰。

イ59金は47角、同と、78馬以下。
ロ同玉は69金、同玉、67角以下。

 いかにもこの作者らしい、スケールの大きな作品。角の最遠移動自体はある筋だが、それを68銀、66馬という二つの捨駒によって隠している(特に68銀は66馬とする為の捨駒、即ち捨駒の為の捨駒である)ので、構想を見破るのは容易ではない。この手順を盤面10枚で実現するあたり、流石である。

           (4)市島啓樹

4 市島啓樹(17手詰)曲詰

          (詰パラ 平成9年5月号、半期賞)

35銀、イ同香、47香、57玉、46銀、47玉、67飛、57銀、83馬、46玉、  48飛、同桂成、47歩、同成桂、56馬、同玉、45馬迄17手詰。

イ同玉は25馬、46玉、36馬引、同香、47銀、同玉、49香以下。

          (詰上がり)

4-1 市島啓樹(17手詰)詰め上がり図


 初手の銀捨ては、後で34馬と引く為の変化伏線。その後も銀捨合が飛び出し、最後は打歩詰を打開してあぶり出しらしからぬ見事な収束を得る。短編曲詰という制約をものともせず、これだけ詰将棋的な要素を詰め込んでみせた作者の創作技量には感嘆する他ない。

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