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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(43)

(43)Gianni Donati, Olli Heimo(Die Schwalbe 233, 10/2008)

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           Proof Game in 19.0 moves(14+15)

1.d4 e5 2.Bh6 Qg5 3.d5 Qc1 4.d6 g5 5.dxc7 d5 6.Bg7 Bd7 7.c8=S Bd6 8.Sb6 axb6 9.Bf6 Ra3 10.Bd8 Rg3 11.f3 Ba4 12.Kf2 b5 13.Ba5 Se7 14.Bd2 0-0 15.c3 Rc8 16.Qc2 Qxf1+ 17.Ke3 Qf2+ 18.Kd3 Qb6 19.Bc1 Qd8

 まずは手数計算をしてみよう。盤面配置を作るのに白は5手しかかからないが、黒はQを除いて13手。良く見ると白Bf1は不動のまま取られていて、これを取ったのが黒Qなのは明らか。これに6手かかるから黒はちょうど19手になり、黒Pは(a筋かc筋かまだ不明だが)不動のまま取られていることが分かった。
 また、よく考えてみると、白のd筋Pを取った黒駒がない(黒Qで取っていると手数オーバーしてしまう)、即ちこのPが成っていることが分かる。この白Pが成るにはc筋の黒Pを取るしかないから、これでPb5がa筋のPだったことも判明した。

 それにしても黒Qは、どういうコースで白Bを取ったのだろうか?すぐに思いつくのはb6-f2-f1あるいはh4-f2-f1というものだが、これはいずれもあり得ないことがすぐ分かる。黒は序に指せる手が限られているので(Pe5,Pg5とQを動かす手のみ)、少なくとも3手目までには黒Qを動かす必要があるのだが、Pc7は前述の通り白Pによって取られるのだから、3手目までに左に展開するのは不可能だ。しかし、白はRa8がg3に到着してやっとPf3が指せるのだから、h4から潜り込むのもやはり無理。では、黒が辿った軌跡はどんなものだったのだろうか?

 ああそうか、黒Qはg5-c1-f1と動いたのか!このルートが閃いた瞬間、残りの手順も芋蔓式に見えてくる(プルーフゲームを解いていて一番嬉しいひと時である)。序は1.d4 e5 2.Bh6! Qg5がぴったりだし、h6に行ったBがその後長い彷徨を経て初形位置に戻ってくる(Long Rundlauf with wB)だけの手数の余裕も白には十分ある。後は、Donatiの確かな作図テクニックを堪能しながら、手順を決めていけばよい。

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