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Proca RetractorにおけるThreefold repetition(2)

(2) Michel Caillaud (Die Schwalbe 02/2011, Com)

#11 Proca Retractor (11+12)

 まずは局面の分析から。白はPe3が1枚、そしてPf5が3枚、計4枚駒取りをしている。白側の駒取りはこれで全てだ。一方黒は、Pb2が1枚、Pf2が2枚、そしてg-h筋のPはcross captureしているので(∵白Ph7は駒取りをしていない)、計5枚駒取りをしており、黒側の駒取りもこれで尽きている。黒側が取った白駒の中にはa筋のPも含まれているが、直進途中で取られた訳ではないので、これは成っている。そうすると、この成駒をa8でunpromotionしてa2に戻すまで、Pa3xb2とは戻せないことになる。また、右上についても、Bh2をf8に戻すまではPg7xh6という逆算は不可能。従って、逆算手順中に黒が動かせる駒はPb5とBh2しかないことになる。そして、もしPb5が動いてくれれば、白からBa4-c6-xf3#という詰筋が成立することも見えてくる。つまり、白の目標は何とかしてPb5を動かすことだ。

Retract: 1.Rd1-a1 Bg1-h2 2.Rd8-d1 Bh2-g1 3.Ra8-d8 Bg1-h2 4.a7-a8=R Bh2-g1 5.a6-a7 Bg1-h2 6.a5-a6(A1)

                                         (2-1)

 いきなり長手数の逆算だが、何のことはない、Ra1をa8でunpromotionしただけである。白Pをa5まで戻すと上図となるが、ここが問題の局面。

6...Bh2-g1 7.Kg4-h4 Bg1-h2 8.Kh4-g4(A2)
8...Bh2-g1 9.Kg4-h4 Bg1-h2 10.Kh4-g4(A3?)

 一見、白の10手目で3度目の同一局面が出現しているように見えるが、そうではない。(A3?)は、(A1)や(A2)とは異なる点を持っている。それがどこか、もうお分かりだろう。白は「(A3?)におけるPa5はen passant可能だ」と主張しているのだ! 従って黒はPのダブルステップを戻すことを強制され、白はこれで無事、当初の筋に入ることができる。

10...b7-b5 11.Bc6-a4 & 1.Bxf3#

           (詰め上がり図)

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