プロパラを振り返る(66)
今日は、ギリシャのHalkidikiで行われた世界大会の報告を読むことにしよう。中でも気になるのはやはり、Japanese Sake Tourneyの結果である。今回も例によってCrazyhouseという奇妙なルールを課題としている。
Crazyhouse:取られた駒は色が変わって、取った側の持駒となる。Pを1段目及び8段目に打ってはならない。成駒は取られるとPに戻る。持駒を打つことを@で表す。
簡単に言えば、王手義務がないだけでまるっきり詰将棋である。例題として載っていた作品がこれ。
(142) 屋並仁史 (WCCC Halkidiki 2004 Sake Tourney, example)
H#2 2sols.(4+5)
Crazyhouse
1.Bxd5 Sxd6 2.B@e3 S@b5#
1.Sxc4 Bxf3 2.S@c3 B@c5#
この作者ならこれくらいは朝飯前だろうが、巧いもんだねえ。
(143)Vlaicu Crisan, Ion Murarasu
(WCCC Halkidiki 2004 Sake Tourney, 1st Prize)
HS#3.5 b)Sc2→h4(6+4)
Crazyhouse
Helpself:HS#nの場合、白から指し始め、白黒双方協力して(n-1)手でS#1の局面を作り、その後白のKを詰める手順を求める。
a)1...Se3 2.Sxe1 Qxe1 3.S@h4 S@b4 4.Qg2+ Sxg2#
b)1...Sf3 2.Sxg2 Qxg2 3.S@c2 S@g6 4.Qe1+ Sxe1#
所謂ODT(Orthogonal-Diagonal Transformation)になっているが、その他にもa)ではh4に、b)ではc2にSを打つのがツイン設定と見事な相乗効果を生んでいる。
(144) Michel Caillaud (WCCC Halkidiki 2004 Sake Tourney, 2nd Prize)
Proof Game in 15.0 (20+12)
Crazyhouse
1.b4 a5 2.bxa5 Rxa5 3.P@a7 Re5 4.a8=B d5 5.Bxb7 Kd7 6.P@a7 Ke6 7.a8=S Kf5 8.Sxc7 Be6 9.P@d7 Qc8 10.d8=R g6 11.Rxd5 Bg7 12.P@d7 Bf6 13.d8=Q Sd7 14.Qxe7 Sf8 15.P@b2 P@d7
こちらはProof gameでのAUW。非常に自然な仕上がりだが、発想の飛躍という点ではやや劣るか。
(平成25年6月5日記)
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