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温故知新(詰パラ303号-01)

 今日は303号(昭和56年5月号)を読んでみる事にしよう。表紙をめくるとすぐに、般若一族の気持ち悪い文章が載っている。読んだことのない人のために、一部を引用しておこう。

「…愚なる人々よ、繰返し趣向全盛の詰棋界にも、革命の嵐が吹き荒れる時が来た。 救い難い風景の中にある暗い川を渡る時がいよいよやって来たのだ。
上田吉一よ、若島正よ、目を開いてよく見るがよい。恐ろしいまでに精錬しつくされた、この人知の極北を!」

 この頃はこういうのが持て囃されたのか? 全く理解できない。こんなことを本気で書いているとしたら、詰将棋云々の前に人間としてダメでしょ。
 これといい変幻自在の怪文書騒動といい、この時代の詰将棋界のダークサイドは、この頃発表されていた詰将棋に素晴らしいものが多いだけに一層不快な印象を与える。

 さて、気を取り直して学校に目を通すと、小学校に小泉潔氏の傑作が載っている!

           小泉 潔

(詰パラ昭和56年5月号、第20期看寿賞短編賞)

59飛、45玉、57桂、56玉、67角、同玉、45桂迄7手詰。

 もう発表されてから30年近くなるが、7手詰という形式の一つの理想形を提示した本作の魅力は全く色褪せる事がない。

 また、担当が伊藤氏に替わった効果なのか、この頃の高校には好作・意欲作が多い。

           小林 譲

(詰パラ 昭和56年5月号)

26桂、24玉、35角、33玉、42銀、22玉、14桂、12玉、22桂成、同玉、
31銀、33玉、44角、24玉、25歩、14玉、26桂迄17手詰。

 初手で打った桂を消去する知恵の輪的な手順が、何ともユーモラス。或いは、16手かけて24歩を1枡下げたとみなすこともできよう。易しく楽しい、私好みの短編。

           有吉澄男

(詰パラ 昭和56年5月号)

25飛、イ35飛、同飛、同金、46銀、同金、54角、44玉、43角成、45玉、25飛、同角成、35金、同馬、54馬、同玉、55金迄17手詰。

イ他合は46銀、同金、54角以下。

           (詰上がり)

 最初に合駒を読ませておいて最後は連続捨駒で締めくくる、典型的な有吉流難解曲詰。尚、うちの柿木でざっと調べてみたが、57とは過剰防衛で、57歩で十分のようだ。半期賞受賞作。

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