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私家版・近代将棋図式精選(34)

          (59)竹下雅敏

59 竹下雅敏

          (近代将棋 昭和58年8月号)

68角、57飛、同角左、同桂成、41飛、42歩、43飛、同歩、同飛生、35玉、
36歩、24玉、57角、46歩、同角、同桂、25歩、34玉、26桂、同と、
35歩、同玉、45飛成迄23手詰。

 2手目57飛合は、同角左、同桂成の後すぐに43飛とすると、以下35玉、36飛、24玉、57角、46歩、同角、同桂で打歩詰に誘導しようという算段。

          (失敗図)

59-1 竹下雅敏(失敗図)


言う迄も無く、飛合を取った後の41飛-42歩-43飛という、彼我の思惑が複雑に絡み合った3手の応酬が主題だ。作者も当然ここから作り始めたのだろうが、このようなアクロバティックな不利変換は一寸類例が思い浮かばない。本作には、本物の構想作にしか出せない迫力が感じられる。

尚、風みどり氏のHPによると、残念ながら42歩を同飛成と取る余詰が成立しているらしい。作者には是非この傑作を修正して貰いたい。(ついでに復活してくれたら、更に嬉しいのだが)


          (60)杉山 正「ありの塔」

60 杉山 正「ありの塔」

          (近代将棋 昭和58年9月号)

65桂、同と、63金、同玉、75桂、同と引、73金、同玉、85桂、同と引、
82銀、同玉、94桂、83玉、72銀、同玉、73歩、同玉、82銀、63玉、
73金、53玉、63金打、43玉、44歩、同玉、53銀、43玉、44歩、同と、
52銀、42玉、43歩、同と、51銀、同玉、62金左、42玉、52金迄39手詰。

 全小駒無仕掛図式、しかも持駒趣向という珍品。2手目同歩なら、52金、同玉、64桂で足場がつく。以下も趣向的に金と桂を捨てていくが、その意味は要するに上記に順ずる変化順での退路塞ぎだ。細かい変化は省略するが、各自ご確認願いたい。

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