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私家版・近代将棋図式精選(110)

           (230)安武翔太

230 安武翔太

          (近代将棋 平成18年7月号)

81歩成、同と、同と、同玉、72角、91玉、92歩、同玉、83角成、同玉、
73と、同金、84香、同成銀、同と、同玉、85と、同玉、95金、同玉、
99飛、84玉、85金、同玉、76角、75玉、95飛、74玉、75銀、83玉、
65角、93玉、82桂成、同玉、92飛成、71玉、61と、同玉、52香成、
同成桂、同龍、同玉、63歩成、同玉、83角成、66金、53歩成、同銀、
同と、同玉、64銀打、同銀、同銀、同玉、55と、同玉、66と、44玉、
55と、35玉、45と、24玉、35と、同玉、36金、24玉、25香、15玉、
26金打、14玉、13と、同玉、23香成、同飛、同銀成、同玉、22飛、
34玉、46桂、44玉、 45金、同玉、72馬、44玉、35金、同玉、36と、
44玉、45馬、43玉、 54馬、33玉、32馬、44玉、45と、同玉、25飛成、
44玉、55龍、同玉、54馬迄101手詰。

 単純な龍追いや既製手順を極力排し、変化・紛れとも厚みのある作品に仕上げるという、現代煙詰のトレンドに沿った作り方になっている。特に、22飛を打ってからの収束は良く練り上げられていて素晴らしい。
 ちなみに、磯田征一氏の労作「詰将棋一番星」で調べてみると、全駒の都煙(完全作)をものにした作家はこれまでに本作者を入れてもたった10人しかいない(歩無し、小駒などを加えても16名のみ)。勿論これは、裸玉や七種合を作ったことがある作家数に比べ、遥かに少ない数字だ。55の地点には、未だ誰も目にしたことがない収束がまだまだ眠っているのであろう。


           (231)山田修司

231 山田修司

          (近代将棋 平成18年11月号)

94と、同玉、83角、93玉、92角成、94玉、83角、95玉、96歩、84玉、
93馬、同玉、92角成、同歩、83飛成迄15手詰。

 4手目93玉は一種の不利逃避で、わざわざ角を馬にすることで打歩に誘導しようとしている。そうはさせじと再度83角と短打すると、あとは綺麗な収束が待っている。高度なことを分かり易く表現する、これこそベテランの芸である。


           (232)中島久雄

232 中島久雄

          (近代将棋 平成19年2月号)

57馬、37玉、38歩、同龍、39馬、46玉、37龍、同龍、57馬、同龍、
36馬迄11手詰。

 収束5手は、豪快だが倣いある手筋。その前に馬を一往復させたのが作者の工夫だが、全体としてやや新味には欠けるか。
 尚、この筋の表現としては上田氏の「極光」第十三番がほぼ決定版と言ってもいいのではないだろうか。


          *参考図 上田吉一

232-a 上田吉一

          (詰パラ 昭和44年5月号)

66角、46玉、33角成、57玉、68金、同玉、77馬、57玉、68銀、同金、
44馬、46玉、44馬、57玉、46龍、同龍、66馬、同龍、47金迄19手詰。

 実は本作には、5手目より66馬、46玉、44馬、57玉、46銀以下の余詰がある。これは配置をまるごと一間左にずらせば消せるのだが、これは一寸横着な方法かもしれない。果たして作者は、どういう風に修正されるのだろうか?


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