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温故知新(詰パラ300号-02)

 大学の結果稿を見ていると、六車家々氏の中篇が載っていた。簡素で好形ながら、あっと驚く一手が出る。

           六車家々

(詰パラ 昭和55年11月号)

13銀、11玉、22金、同飛、同銀成、同玉、

          (7手目の局面)

34桂!同角、32飛、13玉、15飛、14歩、31馬、24玉、42馬、13玉、
14飛、同玉、34飛成、24桂、 36角、13玉、14歩、12玉、32龍、22桂、  同龍、同玉、34桂、21玉、54角、12玉、22桂成、同玉、32馬、12玉、21馬迄37手詰。

 序の6手は導入部。ここで、飛2枚ではどうやっても手が続かないように思えるが、上部を押さえているように見える桂を跳ね出す34桂が絶妙手。不利感という意味では、上田氏作(極光第12番)と双璧ではなかろうか。
 その後の展開も収束用の駒を一切追加することなく纏め、仕上がりは完璧。流石としか言いようがない。

それから、短大に湯村氏の軽趣向を発見!

           湯村光造

(詰パラ 昭和56年2月号)

86銀、同玉、87銀、75玉、76銀、66玉、67銀、77玉、78銀、86玉、
87銀、75玉、86銀、66玉、77銀、同玉、67龍、86玉、76龍迄19手詰。

 攻方銀の回転趣向は文句なしに面白い。ただ、解答者の短評にもあったが、序の2手は作者としても、もう少し何とかしたかったところだろう。

 あと、短コンの結果稿から柏川作を紹介しよう。

           柏川悦夫

(詰パラ 昭和55年12月号)

23銀、24玉、16桂、同と、32銀生、34玉、46桂、同馬、24飛成、同馬、45金迄11手詰。

 ごく普通の手筋ものなんだけど、いいんだよなあ。解説の伊藤正氏は「簡潔な形からの気品ある手順」と表現している。気品のある作品か…。こういうのを一度でいいから作ってみたいものだ。

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