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LE COIN DU RETRO(3-1)

 Dr. Luigi CERIANIによる2冊の本、 すなわち"32 Personaggi e 1 Autore" (1955) と "La Genesi delle posizioni" (1961)はごく少ない部数しか発刊されなかった(どちらも200部ずつ)ことが、今では知られている。しかし、彼によって生み出された作品は忘れられることはなく、彼を記念して彼の家族は復刊することを決意した。以下の住所に80000リラ(400F)を送付すればそれらはどちらも入手でき、彼に啓発されたレトロ解析の愛好家たちにとって必要不可欠なものとなる。

(ここには住所が書かれていたが、省略させて頂く)

 その本はイタリア語で書かれてはいたが、フランス語との間には多くの類似点があるので、私には充分理解することができた。価格はやや高めだが、それだけの内容がある。2冊で900ページ以上もあるのだ。これらの本は、Cerianiの作品群に捧げられている。その内容は:
 Ⅰ)非レトロ解析の作品が100題以上(example 1)
 Ⅱ)pure oppositionというアイデアを説明する作品も100題以上(example 2)
 Ⅲ)そして何より、読者を尻込みさせないように、レトロ解析についての注釈が300以上ついているのだ。

 この独創的な作家が生み出したアイデアの一つに、「反転」がある。(1), (2), そして(3)は、このテーマを3つのジャンルで表現している。

(1) Luigi Ceriani (F.C.R. 1949)

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           S#9* (12+11)

(1)(手番の反転)
今、黒からは1.g4#で詰めることができる。しかし白には待ち手がない。時間稼ぎの為に、白Kは与えられたコースを一回転する必要がある(「遠心力」のテーマ!)。1.Bg4 Kd5 2.Kf3! Kc5+ 3.Kg3 Kd5 4.Kg2 Kc5 5.Kf1 Kd5 6.Ke1 Kc5 7.Kd2 Kd5 8.Ke3 Kc5 9.Bf3!(回転により、初形配置が得られた!)と進めて、最後は 9...g4#となる。

(2) Luigi Ceriani (32 Personaggi e 1 Autore, 1955)

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現在黒番。同じ局面で白番となるような最小手数を求めよ。(12+12)

(2)(純粋なopposition)
J.M.TRILLONによる「失われた時を求めて」を読んだRex Multiplex誌の読者なら、既にこの種の問題には馴染みがあるだろう。ここには詰に関する条件も解析もない。唯一の目的は手番を反転させることだ。作者を縛っているのは合法性のみ。(2)はそのシンプルながらも明快な例となっている。黒Rがe5-f5を往復するだけでは、テンポを失うことはできない。白Sが黒RにRd5とする機会を与えるためにd4に挟まれなくてはならない。1.Re5 Sb2 2.-20. Rf5 Sd1-f2-h1-h5-g3-g7-e5-d6-f7-h8-g6-f8-d7-b8-a6-b4-a2-c1-b3 21.Rd5 +! Sd4 22.Re5! Sb3 23.-42.Re5 Sa4 (白Sはこれまで来たコースを逆戻りする) 43.Rf5まで。

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