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温故知新(詰パラ250号-01)

 今日からは、詰パラ250号(昭和51年11月号)を読んでみることにしよう。一口に250号というが、これはスゴイことだ。毎月こつこつ出し続けたとしても、月刊誌でこの号数を重ねるには20年以上かかるのである。正直な話、こんなマニアックな本がそんなに沢山売れる筈も無いし、主幹の苦労は並大抵のものではなかっただろう。苦しい時も詰将棋への情熱を失わずにパラを出し続けてくれたことに、改めて感謝の念を強くする。もし主幹が途中で挫折していたら、詰将棋の歴史は現在とは全く異なるものになっていただろう。

 さて、250号といえば何と言っても「古今短編詰将棋名作選」である。記念号ということで、ページ数もいつもの倍の168ページ。その約半分を「短編名作選」が占めている。この中から、例によって幾つか引用してみることにしよう。

          (1)湯村光造

11 湯村光造

          (近代将棋 昭和25年8月号)

45金、同龍、55金、同龍、53角成、45玉、35馬、54玉、64金、同玉、
53馬、同龍、65金迄13手詰。

 持駒趣向から、実に見事な展開を見せる。塚田流全盛の時代にあって、その影響が全く感じられないのは不思議。

          (2)野口益雄

12 野口益雄

          (近代将棋 昭和25年9月号)

13銀、23玉、22銀成、13玉、23成銀、同玉、13飛、同玉、31角、12玉、
22角成迄11手詰。

 初手に打った銀がすぐ邪魔駒になる。こういうのを見ると、実戦形というのは詰将棋にとって理想の配置なのではないかと思えてくる。

          (3)岩谷良雄

13 岩谷良雄

          (詰パラ 昭和27年1月号)

42飛、32銀、同飛成、22銀、同龍、同玉、32飛、13玉、24銀、同歩、
14銀、同角、31馬、23玉、22馬迄15手詰。

 整った配置から銀の連続合が発生する構成は意外性十分。合駒で得た銀を2枚とも捨駒に使って、完璧な仕上がり。

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