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プロパラを振り返る(148)


 今日読んでいるのはプロパラ68号(October-December 2014)。Uコースから、上田さんの軽作と拙作を紹介しよう。

(291)上田吉一(Problem Paradise 68, 2014)

291 上田吉一

           ばか詰 45手 *双方持駒なし

炮:飛と同じ動きをするが、駒を取るときは飛の線上にある駒を1枚飛び越えて、その先(直後でなくてもよい)にある駒を取る。

 61炮、92玉、
「62炮、83歩、72玉、93玉」
「63炮、84歩、73玉、94玉」
「64炮、85歩、74玉、95玉」
「65炮、86歩、75玉、96玉」
 66炮、87歩成、76玉、86と、75玉、95玉
『65炮、85と、74玉、94玉』
『64炮、84と、73玉、93玉』
『63炮、83と、72玉、92玉』
『62炮、82と、71玉、91玉』
 61炮、81と、62玉、92と、71玉迄45手詰。

 無駄な配置を一切使わずに表現された、趣向の素描。まさしく名人の手すさび。

(292)高坂 研(Problem Paradise 68, 2014)

292 高坂 研

           覆面推理 type B
          *必要ならば、盤面を回転しても良い

覆面推理 type B:平仮名には先手の駒を、カタカナには後手の駒を対応させて、合法な局面を構成する。また、同音の文字(あとアなど)は同種の駒に対応する。


(簡単の為、以下では基本的に平仮名とカタカナを区別せずに表記することにする)
「い」~「か」は生駒。また「い」「う」「え」「か」はどれも足すと4枚あるので、大駒ではない。唯一大駒の可能性があるのは「お」である。では、「お」が大駒だと仮定してみよう。
 持駒にない文字は「あ」「き」「く」「け」「こ」「さ」「し」の7種。このうち「あ」「さ」「し」は2枚で、それ以外は1枚ずつ。これらのうち生駒は最大でも2枚しかなく、それ以外は玉か成駒。つまり、少なくとも成駒は4種あることになる。
 もし「お」が大駒だとすると、大駒の成駒はあと1種しかできないので、3種類は歩~銀の小駒成駒ということになる。ところが、「い」「う」「え」「か」はどれも足すと4枚あったので、これらは銀、桂、香のうち少なくとも2種を含んでいる。ということは、小駒成駒は最大でも2種類しか作れないことになるが、これは矛盾。これより「お」も小駒であり、持駒は全て小駒であることが示された。
 先程の議論から、大駒の成駒は龍馬いずれも盤面にあり、更に飛角も存在することが分かる。ということは、1枚ずつの「き」「く」「け」「こ」が大駒に対応することになる。従って、「あ」「さ」「し」のうちいずれかが玉で、残りは小駒成駒ということになるが、ではこのうちどれが玉なのだろうか?

a)「あ」が玉の場合
「し」が小駒成駒なので、先手玉に王手がかかっている局面ということになる。しかし、この向きだと後手の直前の手が存在しない(時計回りに90度回転した場合も同様)。
 反時計回りに90度回転した場合は、「イ」≠桂より「イ」と「シ」によって先手玉に不可能両王手がかかっていることになる。(180度回転した場合も同様)
 以上より、「あ」は玉ではあり得ないことが分かった。

b)「し」が玉の場合
 この場合は、どの向きでも双方の玉に同時に王手がかかっていることになるが、勿論これは非合法。

 これより、残った「さ」が玉であることが判明した。
 すると、盤の向きがどうであれ、先手は小駒成駒「し」で後手玉に王手をかけていることになる。従って、先手玉には王手がかかっておらず、これより「キ」=角、「ク」=飛、「ケ」=馬、「こ」=龍がすぐに決まる。つまり、先手は龍と小駒成駒で両王手をかけている訳である。
 このような王手をかける可能性としては、時計回りに90度または180度回転して「し」=成銀とするしかない。しかし、90度回転した場合は「え」=銀としなければならず、これは矛盾(銀が5枚あることになる)。よって180度回転する他ない。つまり、12銀が23に移動して成ったと考えるのだ。
 ここまで来れば後はもう簡単だ。「お」=銀、「え」=桂、「う」=香、「か」=金、「い」=歩が順に決まっていき、消去法で「あ」=ととなる。これでやっと、全配置が確定した。

          (正解図)

292 高坂 研(正解図)


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