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プロパラ90号到着

 こちら青森にも、先日プロパラ90号が届いた。ざっと目を通して気付いたことをいくつか書いておきたい。

 まず気付いたのは、レトロコーナーの結果稿で扱われている作品(R279)に、Assassin Circeというルール表記が落ちているということだった。ちなみに、Assassin Circeというのは、次のような定義のキルケだ(尚、以下の定義文は、StrateGemsのHPにあるものである)。

Circe Assassin
Like Circe, but when the rebirth square is occupied, the occupant is «assassinated» (replaced) by the captured unit.

 つまり、Assassin Circeというのは「復活場所が占領されている場合、その場所を占領している駒は取られた駒に置き換えられる」というキルケルールだ。通常のキルケだと、復活場所が既に埋まっている場合は復活しないのだが、このルールでは、取られた駒は復活場所を占領している駒を(敵味方問わず)蹴落として復活するのだ。
 もう一つのルールであるProca Retractorというのは、黒が白に対して非協力なRetractorであり、「駒取りを戻す際、戻す駒種を決める権利は駒取りを行った側にある」というものだ。黒は白の思うようには手を戻してくれないので、白は黒の合法な逆算手が制限できるような逆算をする必要がある。

 では、ルールが理解できたところで、改めてR279の作意を鑑賞してみることにしよう。

Vlaicu Crisan, Eric Huber & Michel Caillaud
(Problem Paradise 2019)

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           -6 & S#1(5+5)
           Proca Retractor, Assassin Circe

 -1.Bg1xa7(+bPa7, -wBa7)というのは、1手前の着手が白Bg1により黒Pa7を取る手だった(ルールにより、黒Pは白Bを押しのけてa7に復活しているのだ)ということだから、白が1手戻した局面は以下のようになっている。
 ところでこの局面、白Kにチェックがかかっているのだが、意味が分かりますか?

R279-1(1手戻した局面)

 チェックをかけているのは黒K。というのは、Kxg1!!と取る手が白Bをc1に復活させ、白Kを盤上から消し去る手になるからである。でもこれ、チェックという感じが全然しないよねえ。それに、そもそもKxg1はセルフチェックじゃないのか?(それとも、取られてもe8に復活するのか?)
 まあ、かなり違和感があるが一応これを認めることにして進めよう。6.0手戻すと、以下の局面になる。

R279-2(6.0手戻した局面)

 ここから、1.Sd1+とすると、黒は1...Bxg3(+Qd1,-Sd1)とするしかなく、これで白Kは詰んでいる。意味が分かりますか?

R279-3(詰め上がり)

 白の黒枡Bに取りをかけることがチェックになるのは、前に述べた通り。このチェックを躱すにはこの黒Bg3を取るしかないが、するとこの黒Bはf8に復活する。これは白Bc5に取りをかけているので、結局白にはもうどうやっても次の手で白Bが取られるのを避ける手段がないという訳。

 ただ、さっきも書いたが、Kを盤外に押し出そうとする手をチェックと呼ぶのは、どうも感覚的にしっくりこない。いっそのこと、Sumo Circeとでも改名した方が良いのではなかろうか(笑)。


 あと、久々に拙作もUコースに載っている。以前余詰を連発した為、反省してしばらく自粛していたのだが、禊も済んだということで(?)1年ぶりの投稿である。どちらも単純明快な作だが、透明駒ビギナーの為にヒントを書いておこう。

U284 現在先手番ということは、直前に後手玉が動いている筈。そのような合法な着手が存在する為には、どこに先手の透明駒がいなければならないでしょう?
U285 「疑似反則手」を指すことで、透明駒を判明させることができます。

 どちらも、透明駒の位置と種類は手順中に完全に確定します(これも大ヒント!)。解けたらUコースに解答を宜しくお願いします。

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