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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(37)

(37)Gianni Donati(PCCC meeting 09/2004)

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           Proof Game in 15.5 moves(13+12)

1.d4 Sc6 2.Be3 Se5 3.xe5 e6 4.Bb6 axb6 5.Qd6 Rxa2 6.Sd2 Ra4 7.Ra3 Rf4 8.Rg3 Rf3 9.exf3 Se7 10.Bd3 Sc6 11.Bg6 hxg6 12.Se2 Rh4 13.0-0 Ra4 14.Ra1 Ra8 15.Rxa8 Sb8 16.Rxb8

 盤面配置を作るのに白は12手かかる。又、なくなった駒はBBPで、このB2枚がb6/g6で取られたのは明らか。これらにいずれも2手かかるので、Pa2は不動のまま取られたことが分かる。このPは、a筋の黒Pがb6で白Bを取った後Ra8によって取られたと考えるのが一番自然である。更にその後、この黒Rがf3に捨てられ、それによって白Bがg6へ…というストーリーが浮かび上がってくる。これで白の手はほぼ判明した。
 一方、黒のなくなった駒はRRSSの4枚。このうち2枚はe5とf3で取られていて、それがSb8とRa8なのは殆ど自明である。すると、残りのSg8とRh8は一体どこで取られたのだろうか?と言っても、既に手順は半分以上確定しているから、後は実際に盤面で駒を動かしながら考えてみるとよい。右側のRSが実はどちらも左側に移動してから取られているのが、すぐに見えてくるだろう。
 作者が少しも無理を感じさせない作りをしているためにそうは感じないかもしれないが、この「痕跡を完全に消し去ったポジションチェンジ」というテーマ、実は相当高度な表現のように思われる。

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