見出し画像

私家版・近代将棋図式精選(37)

         (65)添川公司「埠頭を渡る風」 

65 添川公司「埠頭を渡る風」

          (近代将棋 昭和58年12月号、改良図)

 33桂成、53玉、54馬、同金、同香、44玉、
「45歩、35玉、36歩、26玉、27歩、同玉、28金、36玉、37金、45玉、
 46金、54玉、55金、63玉、64金、72玉、73金、61玉」
 62歩、同金右、同金、同玉、
「63歩、53玉…27歩、同玉、28金、36玉…61玉」
 62歩、同金、同金、同玉、
「63歩、53玉…27歩、同玉、28金、36玉…61玉」
 64香、63歩、同香、51玉、
 62金、41玉、52金、同玉、42成桂、53玉、
「54歩、44玉…27歩、同玉、28金、36玉…61玉」
 62香まで107手詰。

 本作は最初11月号で出題されたが誤植、翌月に再出題されている。ここに引用した図は、更にその20年後(2003年10月12日)全詰連HPに掲載された改良図である。
 1サイクルに歩を5枚消費する趣向なので、普通に考えると3往復しか出来ないのだが、そこが作者の腕の見せ所。香を使ったり中合で歩を入手したり、様々なテクニックを駆使して、4往復を実現している。(ちなみに、原図は1サイクル6歩消費型で3往復するものであった。こちらの方がむしろ標準的な構成であろう)
 左上での折り返し機構も単純にして巧妙。金の剥がされる順番は完全限定である。こういうところに作者の矜持を見るのは、穿ち過ぎだろうか。

 尚、参考までに原図も載せておくことにしよう。

(参考図)「埠頭を渡る風」原図

65-a 添川公司「埠頭を渡る風」原図


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?