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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(16)

(16)Gianni Donati (Problemesis 12 12/1999)

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           Proof Game in 18.5 moves (14+14)

1.e3 g5 2.Qf3 Bg7 3.Qc6 dxc6 4.e4 Be6 5.e5 Bb3 6.e6 Qd3 7.exf7+ Kd7 8.f8=Q e5 9.Qf3 e4 10.Qd1 e3 11.f4 e2 12.f5 exd1=S 13.f6 Sc3 14.f7 Sf6 15.dxc3 Rd8 16. f8=Q Bh8 17.Qb4 Ke8 18.Qg4 Sd7 19.Qd1

 まず後手の手数計算をしてみると、盤面配置に12手かかる。また無くなった駒はe,f筋のP2枚だが、白の駒取りの位置がc3であることから黒にプロモーションがあったことが分かる。黒の残り手数を考えると、黒のe筋のPが直進してd1で白駒を取り、Sに成ってc3で取られるしかない。これで黒の手数は18手ちょうど。また、f筋のPは原形位置で取られていることも判明した。
 白の駒取りの位置はc3とf7なので、まず白のPe2が直進してPf7をとった後、黒のPe7が動き出すことになるが、このPを取ったときにチェックがかかることを考慮すると、なるべく早めにc6に捨駒をしなくてはならない。黒が自力で動かせる手はg5-Bg7の2手しかないので(Sf6を入れると後で困る)、c6に捨てるのは白Qしかない。
 このあたりで、作者の構想が見えてくる筈だ。即ち、黒Pに取らせる為にまずe筋のPをQに成ってd1に戻し、そしてそれを取らせてから再度f筋のPでQを原形位置に据えるというPronkin themeの反復(repetition of Pronkin with wQ)がそれだ。かなり難しいテーマだと思うのだが、この作者は「d1へのS成」という実にシンプルかつエレガントな設定によって全く無理なくそれを実現している。2度目のQはSf6に邪魔されて、かなり遠回りしてd1に戻ってくるのも面白い。

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