見出し画像

M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(53)

(53) Michel Caillaud (Phenix 2007)

R#1 (11+13)
b)Sf7→B

 Reflexmateというのは、Selfmateに「相手のKを1手詰にできるときは、必ず詰めなくてはならない」という一文を追加したもの。この追加条件とレトロ解析から、果たしてどのような結論が得られるのであろうか。早速、局面を分析していこう。

 なくなった駒は白がQRBSSの5枚で、黒はQBPの3枚。白のRとBはいずれも成駒ではないので、白Pはg-h筋でcross captureしている(そうでないと白Rが外に出られないし、もしa-b筋でそれが起こっているとBがb1に入れない)。更に、黒Bf8も初形位置で取っているので、白側の駒取りはこれで尽きている。一方黒は、d5/e6/h2のPで合わせて4枚駒取りをしていることが明らか。またBa5は、b筋の黒Pが1枚駒取りをして成ったものなので(ここから黒Ra2は成駒ではないことも分かる)、黒側の駒取りもこれで尽きている。

 問題は「黒のキャスリングが可能なのはa),b)どちらか」である。まずは定跡通り、a)で黒の0-0が可能だと仮定して分析を続けよう。出題図からの逆算手順は、大体以下のようなものになる筈だ。

①黒Ra2をh1へ
②黒Ba5をa1へ連れて行き、成を戻す
③Pc7xBd6と取りを戻して、白Bをc1へ
④Pb2-b3, Pb3xRa2
⑤Pd7xQe6と取りを戻して、白Qをd1へ

           (途中図1)

 ここから白Kはg2を経由して初形位置に戻る訳だが、これが案外難しい。というのは、この後白はKe1,Bf1としてPg2xh3とすることで黒Rをh筋から逃がすのだが、その途中にどうしても1手詰の局面が発生してしまうのだ。具体的には、以下の局面においてSf3迄の1手詰があるのだが、どうやってこれを防いだら良いのだろうか?

           (途中図2)

 しばらく悩まされるが、その方法に気付いた瞬間、a),b)の作意が同時に判明する。Sf3迄の1手詰を避ける唯一の手段、それは「黒Rh8をf3に置いてからKe1-f1と戻す」である!従って、a)では黒の0-0はillegalであり、b)ではRの代わりにBf7をf3に持ってくれば黒の0-0は可能である。以上より、作意は

a) 1.Rb8 Sd6# (1.Rb7 0-0#?? but illegal)
b) 1.Rb7 0-0#

ということになる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?