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プロパラを振り返る(06)

プロパラ第2号には、C .J. Featherによるヘルプ講座も載っている。今回はこれから部分的に数ヶ所引用してみよう。

…プロブレム創作を他人に教えることは難しいが、一流作家にはどんな資質が必要とされるかを考えてみるのが恐らく役に立つだろう。ヘルプメイトを作ってみようという人には、(かなりの忍耐に加えて!)次の4点が必要であるように思える。
(a)ヘルプメイトの本質の理解
(b)想像力
(c)テクニック
(d)ヘルプメイトの歴史の知識
この4点は全て不可欠なものなので、その大切さの順位はつけられない。

…ヘルプメイトには白と黒が戦うという要素は全くないし、一方の側の目的が相手の側の目的を打ち消すといった感覚もない。従って、ヘルプメイトには他のタイプのプロブレムよりもテーマの占める部分が大きく、作者の想像力を働かせる余地も大きいが、その余地が大きいためにそこをうまく使わないと空虚さもより大きくなる。もし幸いにも、あなたがダイレクトメイトの予備知識を持ち合わせていなければ(あるいはそれどころか、実戦を指したことがなければ)、ヘルプメイトを正しく理解して、駒の能力と盤の幾何学とが織りなす抽象芸術であると知ることはいっそう簡単になるだろう。

…想像力については何が言えるだろうか?想像力を持つ人間もいれば、持たない人間もいるということだけか?多分そうかもしれないが、少なくともヘルプメイト特有の想像力というものはある方法で開発できる―それは、ヘルプメイトを解くことだ!
 別に私は、一流の作家になるためには解答強豪にならなければならないと言っている訳ではない。しかし、読みの深い解答者なら、作家がアイデアを夢想したその過程をある程度は再現できるものである。それどころか、作家の中にはわざと解答者をそう仕向ける者もいるし、ヘルプメイトのアイデアにはとりわけそれにうってつけのものもある。

…創作過程で大切なのは、二種類の余詰を区別することである。一つは、テーマそのものに内在する余詰で、もう一つは、そのテーマを実現する際の細部に生じる偶発的な余詰である。最初の方は創作過程の早い段階で考慮に入れる必要があるが、後の方はふつう最後まで放っておいてもよい。

 まあ、正直言うと、詰将棋創作の経験者にとっては特に目新しい助言はないようだ。西欧のプロブレミストと比較した場合に我々が唯一不利なのは、ヘルプの歴史に関する知識の不足だけではないだろうか(殆ど作ったことがない者がこんなことをいうのは傲慢だと思うが) 。

 これで2号もおしまい。来週からはプロパラ第3号の内容を検証することにしよう。
(平成23年10月26日記)

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