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楽しいレトロプロブレム(8)


(7) Roberto Osorio (Retro Championnat de France RIFACE 2014)

Proof Game in 10.5 moves (15+15)

 黒には1手の猶予もないので、Pd7は白が取ってあげなければなりません。従って、序の1.Sf3 a5 2.Se5 Ra6 3.Sxd7 Kxd7迄は必然で、以下の局面となります。

           (3.0手目の局面)

 ここからが本題。白は後8手指さねばならず、そのうち1手はPe3ですから、7手消費する必要があります。しかも、黒Kをb5に連れていくには白Bf1の利きを遮断しておかなければなりません。遮蔽駒は白Kをd3に置くしかありませんが、このKのswitchbackに4手かかりますから残りは3手。となれば、自然と白Qのtriangulationが見えて来る筈です。ということで、作意は1.Sf3 a5 2.Se5 Ra6 3.Sxd7 Kxd7 4.e3 Kc6 5.Ke2 Sd7 6.Kd3 Kb5 7.Qe2 Rc6 8.Qe1 Sb6+ 9.Ke2 Bd7 10.Qd1 Qc8 11.Ke1+ となります。

 ぐずぐずしていると黒Qからチェックをかけられますから、白Kはd3に余り長居できません。このことから、どちら回りでも良さそうな白Qの回転の向きもちゃんと限定されています。このKとの絡みで、白Qが例えばg4-f3-d1と動いてtempoを失うこともできないようになっています。最後はいずれも初形位置に戻って幕。明快に表現された、KとQによる複合tempoでした。

 では、今回も同様の構想を持つ作品を紹介しておきましょう。

(7-a) Gianni Donati (Thema Danicum 98 04/2000)

Proof Game in 10.0 moves (16+16)

作意は、1.f3 e5 2.Kf2 Qh4+ 3.Ke3 Ke7 4.Qe1 Kf6 5.Qg3 Be7 6.Qf2 Kg5 7.Qe1 Qe4+ 8.Kf2 Kh4 9.Qd1 Bg5 10.Ke1 です。
意味付けの純粋さという点では、こちらの方が上かもしれませんね。


(8) Wolfgang Pauly (The Chess Amateur 1913)

#2 b)+bPg2 (4+4)

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