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私家版・近代将棋図式精選(106)

           (221)植田尚宏

221 植田尚宏

          (近代将棋 平成16年2月号)

32歩、同銀、41金、同銀、23桂、22玉、31角、12玉、11桂成、同玉、
13龍、同金、22角打、12玉、13角成、同桂、22金迄17手詰。

 まず、わざわざ銀を呼び出してきて41金と捨駒をする序が、いかにも短編らしく味がよい。続いて23桂から拠点を作っておけば、桂成捨ての後に狙いの捨駒13龍が炸裂し、最後は勿論清涼詰。初形も含め、作者の美意識が十二分に感じられる一局。


           (222)谷口 均

222 谷口 均

          (近代将棋 平成16年4月号)

45飛、イ26玉、38桂、同歩成、25飛、36玉、37銀上、ロ同と、26飛、
同玉、27歩、同と、15銀迄13手詰。

イ14龍は28桂、26玉、37銀上、同香、35銀迄。
ロ47玉は55飛、14龍、57飛迄。

「取れる歩を取らずに成らせ、逆にそれに捨駒をする」というのは無双91番がオリジナルだが、それを短編で表現した例。やや配置は硬いが、この短手数での実現には拍手を送りたい。


           (223)添川公司「雅」

223 添川公司「雅」

(近代将棋 平成16年4月号)

83歩成、91玉、81銀成、同玉、72と寄、91玉、82と、同銀、同と、同玉、74桂、91玉、82銀、92玉、93と、同飛、同銀成、同玉、94と、同玉、
85金、同玉、87飛、74玉、75歩、同銀、同金、同玉、86馬、65玉、
66歩、同玉、57金、同龍、75銀、56玉、46金、同龍、同と、同玉、
68馬、57歩、同馬、36玉、86飛、27玉、26飛、同玉、16と、同玉、
17飛、25玉、26歩、同玉、35銀、36玉、46馬、25玉、37桂、同と、
15飛、同玉、37馬、25玉、26馬、14玉、13と、同玉、23香成、同玉、
24歩、13玉、14歩、同玉、47角、13玉、14歩、12玉、23歩成、同玉、
24銀、同玉、25馬、23玉、13歩成、同玉、14馬、12玉、11と、同玉、
21香成、同玉、31と、11玉、22桂成、同玉、32と、11玉、12歩、同玉、
56角、11玉、22と、同玉、23馬、21玉、12馬、31玉、41と、同玉、
42桂成、同玉、43歩成、同玉、44香、33玉、23馬、44玉、34馬、55玉、
45馬迄121手詰。

 添川煙の最大の特長である、駒たちが軽やかに戯れ合っているような手のタッチは、都煙でも全く変わらない。龍追いによる安易な構成を拒絶しつつ、詩情溢れる手順で解く者すべてを魅了してくれる。
 珍しいことに、本作では手順中に何箇所かで先行作の残響音を聞き取ることができる。例えば、収束は自作「サーカス」のセルフカバーのようだし、玉を左辺に追い込んでからは「稲村ヶ崎」の序と同じ手順が出てくる。もしかして後者は、彼なりの先達へのオマージュなのだろうか。
 現在氏は50作近く煙詰を発表されているが、意外なことに都煙は本作と「小熊座」(めいと 昭和63年9月)、及び「約束の地」(詰パラ 平成7年5月号)の3作のみ。その意味でも本作には希少価値がある。

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