令和3年度 自作ベスト5(5)

(5) 詰パラ785号(令和3年8月)

5 覆面推理(type B、2解)

           覆面推理 type B  2解

          (正解図1)

5-1 正解図1

          (正解図2)

5-2 正解図2

 2解で全ての駒種が変化する覆面推理。勿論1号局だ。個人的には、看寿賞クラスだと思っている(笑)。
 既にツインは作ったことがあった(参考図として引用しておこう)ものの、2解というのはまた創作難度が格段に高くなる(煙詰と都煙くらいの差か)。特に、全ての駒種を変化させるということは必然的に玉に対応する文字も変化することになるが、これが大問題なのだ。
覆面推理の創作というのは基本的に、まず玉位置を確定し、そこに他の駒種が確定するロジックを積み重ねていくという形を取る(少なくとも私は、これまでずっとそうして作ってきた)。だから、玉位置が変わるというのは設計図を書く為の基準点が変化するのに等しい。2ヶ所の基準点を使って書いた設計図を重ね合わせて、同時に成立させないといけない訳だ。
これは、チェスプロブレムでツインを作る感覚とも一寸違う。プロブレムの場合は、最初からペアになる手順を想定し、それがどちらも成立する配置を考えるのだが、覆面推理の場合はそれとも異なるのだ。お分かり頂けるだろうか?
私を悩ませたことがもう一つある。何とか最初の問題をクリアできる構図は見つけたのだが、どうしても使用駒種が11種になってしまう。駒種が偶数だったら、最初の解で「あ=飛、い=角」ならばもう1つの解では「あ=角、い=飛」のように、2解で入れ替わるペアを複数設定すればよい(理論上はこのようにペアを設定しなくても全ての駒種が入れ替わる問題は作れる筈だが、そのような作品がどうやったら作れるのか、私には見当もつかない)。ところが、奇数種の駒を使用するとどうしても3種で入れ替えしなければならない組が生じ、これがなかなか旨くいかないのだ。
ここをクリアするまでにボツにした図は50図くらいだろうか。まあ、この程度で収まってくれたら御の字なのだが、最終的に気合いと根性がものを言うところは詰将棋の創作と同じである(笑)。

「将棋パズル雑談」の結果稿ではこんなことは書けないので、覆面推理を作っている者がどういうことを考えて創作しているのか、一寸だけ詳しく書いてみた。ご理解頂けたら幸甚である。

(参考図)mixi(平成28年4月2日)

5-a 覆面推理(type B, twin)

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