楽しいレトロプロブレム(34)
(33) Michel Caillaud (Messigny 06/1995, 1st Prize)
白にはなくなった駒はありませんが、黒はQBPの3枚を取られています。白がそれらを取った場所も全て明らかですね。手数計算をすると、白は15手(Qはg4-c8-f8-c8-g4(h3)-g2と動いている)、黒は盤面配置に7手(Sg8は2手動いている)、そしてQとPでも5手費やしているので、全部で12手です。
どちらにも手数に猶予がありますが、少し考えてみれば分かる様に、黒Bc8は原型位置のままだと白Qの、そしてh3に移動すると今度は白Bf1の移動の邪魔になってしまいます。白駒どうしの軌跡も一部重なっていることで、結果的に黒Bはc8-h3の間を2往復することになります。これで黒は16手ちょうど。一方白は、1手の猶予を初手のsingle stepによって消費することになります。作意は以下の通りです。
1.a3 d5 2.a4 d4 3.a5 d3 4.exd3 Bh3 5.Se2 Kd7 6.Sec3 Ke6 7.Qg4+ Kf6 8.Qc8 Qd5 9.Qxf8 Qf3 10.xf3 Bc8 11.Bh3 h5 12.Bd7 Sh6 13.Ba4 Bh3 14.Qc8 Rd8 15.Qg4 Sg8 16.Qg2 Bc8
黒Bによる駒取りなしでのSwitchbackの反復。高度な主題にもかかわらず、手順限定のロジックには全く無理がありません。それに加えてこの解き易さ!Sg8の小さなswitchbackも装飾として気が利いているし、私の大好きな作です。
尚、類似の主題を扱った作として、次図も是非覚えておきたいところです。
(reference problem)
橋本 哲(Problem Paradise 14 1999)
作意は1.h4 a5 2.Rh3 a4 3.Rb3 xb3 4.d3 Rxa2 5.Sd2 Ra8 6.Ra7 b6 7.Rb7 Ra1 8.Sdf3 Rxc1 9.Sh2 Ra1 10.f3 Ra8 11.Qa1 d6 12.Qa7 Sd7 13.Qb8 Ra1+ 14.Kf2 Rxf1+ 15.Kg3 Ra1 16.Kh3 Ra8
というもの。こちらは(駒取りありとはいえ)RのSwitchback三往復!流石は世界のHashimotoです。
(34) Josef Haas (Die Schwalbe 20 04/1973)
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