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M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(51)

(51) Jean-Marie Chorein, Michel Caillaud (Phenix 07-08/2004)

取られた白駒の種類と場所を求めよ (12+9)

 なくなった駒は白がRPPPの4枚で、黒はQRRBSSPの7枚。白の駒取りはb筋でのPによるものが1枚で、一方黒はd~g筋で1枚ずつ駒取りをしていることが明らか。特にh筋の白Pは、直進途中で取られることはないので成っている。従って、すぐにPh7xg6と戻すことはできない。他の取りも、すぐに戻せないことは明らか。

 1.Rb7xb8+?が最終手だと、以下どう頑張っても左上をほぐせない。正しくは1.Pa7xSb8=R+である。以下、1...Sc6-b8 2.Qa6-c8+が必然で、とりあえずこれで双方とも逆算に困ることはない。

           (図1)

 この局面で白Pa7はf2から5枚駒取りをしていることが分かるので、これで白の駒取りも尽きている。

 ところで、白Pa7は最後に何を取ったのだろうか?もし黒Pを取ったとすると、黒がPb7-b6と戻す前に白は黒R/Bの2枚をuncaptureしないといけないことになるが、白がこの時点でuncaptureできるのはb筋で1枚だけ。よってa筋の黒Pは不動ではない。しかし取られてはいるので、結局この黒Pは成っていることが証明された(黒Pa7が動いていれば、黒Bc8としてPb7-b6と戻してからでもa筋からRを戻すことができる)。
 すると、この成を戻す前に白がb筋でuncaptureすることはできない。盤上に存在する駒でa1で成を戻せる黒駒は黒Sしかなく、ということはPb2-b3と戻す必要がある。更にその為には予め白Bc1も戻しておかねばならない。しかしどうみても、白Bd8はすぐにc1に連れて帰れる状態ではないが…?

 この状態を打破するには、あることが閃かなければならない。即ち、白Bd8は成駒なのだ!これに思いが至れば、成った場所はh8であり、h筋の白Pは直進してここで成っていることなど、ここまでの展開が芋蔓式に見えてくる。具体的な逆算手順は、次のようになる。

(1)白Kc8としてからBd8をb8に位置変更し、更にPc7xBd6としてこの白Bをc1に戻す
(2)Pb2-b3としてから、a1で黒Sの成を戻す
(3)Be8もg8に位置変更しておいてPf7xRe6とし、このRをa1へ
(4)Pa2xBb3としてこのBをc8へ、そしてPb7-b6

 ここで初形位置に戻れる駒は戻しておくと、以下のような局面になる筈だ。

           (図2)

 続いて、白Pa7の駒取りを戻すことで、白Bb8も解放できる。逆算の続きは以下のようなものだ。

(5)Pc5xQb6xRa7
(6)Bb8をh8へ運び、成を戻す
(7)Pd4xRc5と戻して、このRをh8へ

           (図3)

 ここで白Bg8が脱出できなくなっているように見えるが、ご心配なく。実はこれも成駒だったのだ!ということで、

(8)Ph7xBg6として、このBをf1へ
(9)g6-g7-g8=B
(10)Ba5をf8へ持っていってPg7xRf6
(11)Pf2xSe3xSd4

           (図4)

 以上より、d6/e6/f6/g6で取られた白駒はそれぞれB/R/R/Bだったということになる。

 類題として、以下の作品も引用しておこう。基本構造は似ているが、(51)よりは易しい筈である。

(51-a) Jean-Marie Chorein, Michel Caillaud (Phenix 7-8/2004)

e5で取られた駒は何か?(10+9)

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