プロパラを振り返る(35)
(74) 小林敏樹 (Problem Paradise 17, 2000)
H#2 b)b5P→B, c)Sb6→b7 (4+10)
a)1.Rd6 Sc4 2.xc4 Rxa5#
b)1.Sd4 Ra3 2.xa3 Bxa3#
c)1.Sd6 Bc3 2.xc3 Sd7#
綺麗なcyclic Zilahi。詰将棋経由の人間としては、白の初手がいずれもactive sacrificeになっているのが嬉しい。
(75) 小林敏樹 (Problem Paradise 17, 2000)
H#3 b)Pb4→e4 (7+5)
a)1.Bxf6 Re6 2.Bc3 Sf6 3.Kd4 Rxe4#
b)1.Rxd6 Bd8 2.Rd3 Sd6 3.Kd4 Bb6#
黒のB/Rが白のB/Rを取ってswitchbackする。対照の美が隅々にまで行き渡った、実に美しいツイン。
(76) 上田吉一 (Problem Paradise 17, 2000)
H#20 (2+2+1)
K Madrasi, UltraSchachZwang
Neutral Pawn b2
K-Madrasi:「同種の敵の駒から取りを掛けられると、その駒は動けなくなる」というmadrasiのルールをKにも適用したもの。
UltraSchachZwang:黒は常に白にチェックをかけなくてはならない。
neutral piece:黒からも白からも動かすことができる駒。
1.b1=nR+ nRc1 2.nRc7+ nRc5 3.nRb5+ Re5 4.d5+ nRc5 5.nRc7+ nRc4 6.nRb4+ Re4 7.d4+ nRc4 8.nRc7+ nRc3 9.nRb3+ Re3 10.d3+ nRc3 11.nRc7+ nRc2 12.nRb2+ Re2 13.d2+ nRc2 14.nRc7+ nRc1 15.nRb1+ Rd1 16.d1=Q+ nRc1 17.nRc7+ nRc6 18.nRb6+ Re6 19.Qd6+ nRa6 20.Qxa6 Rxa6#
いくら上田さんが天才だといっても、このようなフェアリー駒を思うがままに操れるようになるまでには、想像を絶するほどの時間が費やされているに違いない。それは恐ろしく孤独な作業であると同時に、上田さんクラスの作家にのみ許された特権的な体験なのだろう。
(平成24年7月11日記)
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