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Michel Caillaud, The chameleon composer(6)

No.7 Michel Caillaud(Andernach 1996, 3-4 Place e.a.)

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                                         H#3 (3+10)
                                         Frisch-auf Circe

 フェアリーの分野においては、新しいジャンルを探検し、そして僅かな仕掛けで意外な効果を生じさせるのが好きだ(私はまた、手の修正が最小限の「控えめな」ジャンルを好む。Take & MateとかSuper-Circeのような派手なジャンルにおいては、1手で多くの効果を生むことは難しくない)。この作品では、自然な配置に手の込んだレトロ解析を組み込み、作意に関連する結果を導けたことを嬉しく思う。

 Frisch-auf Circeにおいては、成駒はフェアリー駒のように再生する。即ち、それらが取られた筋の最上段に再生するのだ。他の駒は、普通のキルケと同様である。
 -1.Kh4-g3 Ph6xg5+...という逆算はできない。g5で取られた白駒が再生した可能性がないからだ。従って、白の最終手は-1.Pf3xg4に違いない。取られた駒が復活すべき場所はd8であった。つまりこのことは、最終手が-1.Pf3xQg4であり、取られたQはオリジナルのものだったこと、従って初形でe8にいるQは成駒だということを意味する。-1...Qg4+(注 Pf3xQg4の直前の手)の前の手は、-2.g2xQf3ではあり得ない(オリジナルのQは既に取られているから)。よって逆算手順は-1...Qc8-g4+ -2.Pg2xBf3であったことが示され、取られたBはオリジナルの白枡Bであること、従って出題図でh3にいる黒Bが成駒であることも判明した!作意順は、これまでのレトロ解析で示された「Qe8とBh3はいずれも成駒である」という事実を使っている。
1.Qe5+! Kxh3(Bh1)! 2.Bf3 Bxe5(Qe1!) 3.Qf2 Bf4#


No.8 Michel Caillaud 'Tarzan of the Apes' (StrateGems 1999, 1st Prize)

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release the position (15+13)

Retract:1.Sb4-a6 d7-d6 2.Sd3-b4 Rd2-e2 3.Sc1-d3 Re2-d2+ 4.Sb3-c1 Ba2-b1 5.Sa5-b3 Bb1-a2+ 6.Sc4-a5 Ba2-b1 7.Sd6-c4 Bb1-a2+ 8.Sf5-d6 Rg5-g4 9.Sh6-f5 Rg4-g5+ 10.Sf5xPh6 Rg5-g4 11.Sd6-f5 Rg4-g5+ 12.Sc4-d6 Ba2-b1 13.Sa5-c4 Bb1-a2+ 14.Sb3-a5 Ba2-b1 15.Sc1-b3 Bb1-a2+ 16.Sd3-c1 Rd2-e2 17.Re2-e1 h7-h6 18.Re1-f1 Sf1-h2 19.g5-g6 Bh2-g3 20.Bg3-f2 Sf2-d1...

 白Sは黒のラインからラインに飛び移る「ターザン」だ。この白Sは唯一自由に動かせる駒であり、これで黒Ph6をuncaptureしなくてはならない。この黒Pが決定的なtempo moveを生じることになるのだが、その途中で黒が手詰まりにならないように、白Sは黒のラインを閉じながら移動する必要がある。
 90年代後半にインターネットの波が押し寄せると、私はかつての船便の時代よりも集中的に、そして受動的に、まだ見ぬチェス仲間たちとアイデアを交換し合う機会が増えた。最初にインターネットで意見交換をしたのはGianni Donati, Mark Kirtley(プルーフゲームにおいて、駒取りなしのRundlaufを追い求めていた時代だ)、そしてTom Voletだった。
 No.8はレトロスクリーンを表現しているが、これは私たちがあの時代に議論した、Tomのお気に入りのテーマの一つだ。

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