金曜日の真夜中に

金曜日の夜は映画を見ることが多い。自分と歳が近い主人公の映画を見ると、つい感情移入してしまう。
映画の主人公が自分に乗り移ったかのように、主人公の人生を体験した気分になっている。

ただでさえ翌日が休みの金曜日は緊張と解放の狭間にいるのに、それに加えて現実とフィクションの狭間にもいるような不思議な感覚になる。

でもいくら感情移入したって、本当にその主人公の人生を私が送れるわけじゃない。

そしてそれをふと思う度に、自分の人生から抜け出す方法なんてないことを実感する。

どんなに嫌なことがあっても、どんなに自分を変えたくても、歩ける人生は一つだけ。
たとえ生まれ変わりがあるとしても、この顔で、この身体で、この家族で、という偶然で作り上げられた空間を生きられるのは今だけなのだ。

だから自分を変えたいなら、自分の頭で考えて、自分で動くしかない。

憧れの人がいて、その人になりたいと強く願ったとしても『その人を真似している自分』になることが限界。

私は昔から他の人になりたい。いわゆる変身願望が強い。
憧れの人が本当に何人もいるし、その人たちになりたいといつも思う。
だけど、私は私の人生しか生きられないから、真似することが限界ということを何回も味わってきた。

偉人の真似をしても偉人にはなれないのである。

生きてる限りずっと自分。

だからいろんな人の良いところを少しだけ真似して、自分の心動くものに身を委ねて、少しずつ私という人間を自分自身で作り上げていきたい。

ちゃんと自分が行きたい方向に舵を切らねば。

と、百万円と苦虫女を鑑賞後に思ったのでした。

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