mRNAワクチン(コロナワクチン)後遺症に悩んでいる方へ

前半がmRNAワクチン接種後に体調が悪い方へ

後半が医療者向けの内容となっております。

mRNAワクチン接種後に体調が悪い方へ

A. mRNAワクチンつまりコロナワクチン接種後に体調が悪いが、受診すべきか。

まず、大原則ですが、体調が悪ければどんな状況でも受診してください。

ワクチン接種後であればやはり受診すべきと考えます。

なぜなら社会的意義がある。公衆衛生に役立つからです。

mRNAワクチンがどのような影響を及ぼすか詳細は分かりません。研究では分からない事も多く、実際の症例を集める事が大切です。
WHOではAEFI(ワクチン接種後のあらゆる好ましくない症状、疾患等。因果関係を問わない)を報告し、検討する事が、人類の健康に寄与すると強く主張しています。

実際に、8万人の治験では心筋炎は発見されませんでした。心筋炎の存在を知らないまま、人類は大規模な接種を開始しました。
接種後に体調不良な方々が病院を受診してくださったからこそ、mRNAワクチンと心筋炎の関連が明らかとなり、注意もできるのです。
例えば、モデルナを接種し心臓に違和感を感じた若年者が受診したからこそ、
若年者はモデルナを避けた方が良いと発信でき、実際に何人かの若年者の心筋炎を回避できたと考えられます。
同じように、あなたが受診する事により、将来の他の誰かを救えるかもしれません。

実際に厚労省では
接種後の全ての好ましく無い症状、疾患の報告を求めています。

副反応報告


注目すべきは、
「ワクチンと関連があるかどうか?は医者、厚労省が行うから、とりあえず受診して欲しい。」
という姿勢です。

これは先日の首相官邸のツイートからも明らかです。
https://twitter.com/kantei_vaccine/status/1507173474573647872?s=20&t=dwl11kOnXmOxwCEJ--HBpQ

診断基準などの差もありますが、香港の心筋炎の頻度と比べると、日本の心筋炎は1/20程しか診断されていない可能性があります。
雑な後遺症診断を批判する医師は居ても、接種後の受診は全員が勧めているはずです。時々、接種後の体調不良は受診してはいけないと考えている人が居ますが、明らかに間違いです。

小括です。
・体調が悪い時は受診してください。
・ワクチン後の体調不良で受診する事は人類の健康へ寄与する。
・ワクチンと関連するかはこっちで判断するから、とりあえず受診して欲しい。


B. 受診後、どんな検査があるか?
私の所に受診した場合を想定した一例を紹介するので、参考にしてください。

1. まずは心臓の検査
mRNAワクチンつまりコロナワクチンと心筋炎の関連は明らかです。
Noteや固定ツイートにも書きましたが、科学的にはっきりしています。
厚労省も心筋炎が起こる事を明記しています。

一方で、心筋炎の症状は胸痛などですが、
胸痛のないワクチン関連心筋炎も報告されています。
胸痛が無いからといって安心できません。
接種者全員で心機能の変化が見られたという論文もあります(固定ツイート)

また、心不全となれば倦怠感が出てきます。
そのほかにも、多彩な症状が出てきます。
失神の一番多い原因は心臓が原因です。脳神経が原因ではありません。
心臓が原因で失神する方が一番多いのです。

ですから
mRNAワクチン接種後に体調不良がある方は
全ての方において心臓は懸念した方が良いと考えます。

もちろん、一概には言えません。
診察された先生が身体所見などを考慮し、心臓の検査が必要か判断されるでしょう。

具体的には、採血に加えて
1. 心電図(必須)
2. 心エコー(望ましい)
3. 心臓MRI(可能であれば)
と考えます。特に心臓MRIは非常に有用ですが、限られた病院でしかできません。
紹介が必要か、良く相談されてください。


2. 女性であれば生理
mRNAワクチンが生理に影響を及ぼす事は疫学より明らかです。
固定ツイートにもありますが、米国NIHも認めています。
不正性器出血などは、悪性腫瘍などの可能性もあり、
最近検診を受けていないのであれば、産婦人科受信を行った方が良いでしょう。

3. 高血圧、乾癬、アトピー性皮膚炎、ベル麻痺等々
このあたりも論文が出てきているので、
高血圧は心臓の検査の時に一緒に相談されてみてください。


C. 「ワクチン後遺症の診断を渋られた。」に関して

まず、「後遺症」と言うと、身構えてしまいます。「ワクチン接種後、体調がすぐれない」等で受診した方が、スムーズかもしれません。
なぜなら、「後遺症」を前面に出されると診断を急かされる印象があるからです。

次に、なぜワクチン後の体調不良の診察を嫌がる医師が多いか?です。

基本的に医師は勉強しています。人体の仕組みから始まり、病気のメカニズム、治療のエビデンス等々。それがあるから診療できるのです。基本的に見て学ぶよりかは読んで学ぶ職業です。
では、mRNAワクチン後遺症に関してどうでしょうか?
メカニズムや仕組みは多少論文に出てきていますが、実質ゼロです。
後遺症の教科書があれば読んで、ドンドン診療しますが、無いのです。
医師も分からなくて不安で、どうしたら良いのか分からないのです。

お腹が痛くて受診して、どうしていいかオロオロする医師には怒っても良いかもしれませんが、ワクチン後の長引く体調不良に関してオロオロする医師は素直なだけなので、むしろ信頼できるかもしれません。


D. どうやって「ワクチン後の長引く体調不良」を受診したら良いか?

上記より、医師もどうかしたいが、どうしたいか分からない。のが現状です。
接種を推奨する理由は、黙っても色んな所から来ますが、後遺症に関しては実質ゼロです。
従って、後遺症の教科書的なのを印刷し、持参し、次回までに読んでおいてください。とお願いするしかありません。
大丈夫です。勉強に人生を捧げている人種なので、次回までに読んでくるでしょう。

印刷するのはこちら

「予防接種後副反応 (AEFI) の因果関係評価
WHO 分類改訂第 2 版 ユーザーマニュアル (日本語版)」

https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/259959/9789241513654-jpn.pdf?sequence=5&isAllowed=y

全部を印刷するのは大袈裟だという方は、表紙と、24ページを印刷しましょう。

フローチャート日本語

そうして大事な事ですが、「次回までにチェックしてもらっても良いですか?」と伝えましょう。

そうして2週間後に再度受診した場合、こう言われるかもしれません。
「日本では厚労省の専門家が因果関係を評価する事が多く、自分がこの場で因果関係を評価するのは適切では無いかもしれない云々。」
そうした場合は、
「それでは、規定通り厚労省に報告してください。」とお願いしてみてください。

そこまで辿り着けば、引き続き診療もしてくださるでしょう。

小括です
・医師もどうして良いのか分からない事を理解する。
・因果関係の評価が難しいのなら、まずは厚労省への報告を求める。




以下は医療者向けです。


まず、mRNAワクチンを巡る状況は激変してきました。
特に、ワクチン後遺症問題は従来より最大の懸念でした。


ところで皆さん、ワクチン後遺症の診断基準をご存知でしょうか?
探しました。まだ読み込めていませんが、ざっくり紹介します。


WHO はAEFI( adverse events following immunization)を提唱しています。
https://www.who.int/vaccine_safety/publications/aefi_manual.pdf
訳そうとすれば、「ワクチン後のあらゆる望まない出来事」でしょうか。
「後遺症」というよりかは、WHOが提唱しているAEFIの方が
冷静に議論ができるかもしれません。
今にして振り返ってみれば、mRNAワクチン後遺症の論文でも頻回に出てきており、学術的にもコンセンサスがあるようです。有意差ばかりに注目していた自分が未熟でした。

AEFIの定義は以下です
Any untoward medical occurrence which follows immunization and which does not necessarily have a causal relationship with the usage of the vaccine. The adverse event may be any unfavourable or unintended sign, abnormal laboratory finding,
symptom or disease.

注目すべきは
and which does not necessarily have a causal relationship with the usage of the vaccine

つまり因果関係を問わないのです。
その下層に、因果関係のあるAEFI,、因果関係のないAEFI、判定不能なAEFI
と大まかに3種類に分類されるようです。

つまり、後遺症と言う名称でなくWHOに準拠したAEFIであれば
接種後の全ての死亡や好ましくない疾患や症状はAEFIです。
ここから、因果関係の推定を行って行くのが医学的なコンセンサスです。

AEFIである事を認めずに、初手から因果関係云々言い出すのは拗れる原因では無いでしょうか?

また、AEFIという概念、それ以降に因果関係を推定するというコンセンサスの取れたプロセスを、もっと説明すべきだったのでは無いでしょうか?
これを周知しておけば、かなり変わったのでは無いでしょうか?


次にAEFIの因果関係の推定です。
読み込めていませんが、フローチャートがありました。
こちらです。

フローチャート

思ったより明快です。気になった点としては
・有意差があるものは因果関係ありとなりやすい。
・ 因果関係無しも統計データが必要
・ 統計データがなくとも、因果関係ありとなりうる。

以上を踏まえると、心筋炎や生理は明確に因果関係あり(ⅡA)となるような気がします。
心機能や高血圧や乾癬も因果関係あり(ⅡAもしくはⅣA)でしょう。
倦怠感なども文献検索の結果ですが、因果関係あり(ⅣA)となりうる可能性があります。
もちろん、Ⅳの他疾患の入念な除外が大切です。
ちなみに、心筋炎が辿るであろうⅡAにおいては、Ⅳの入念な除外診断は必要ないでしょう。

因果関係なし(Ⅲ)となるのは、すぐには具体的には出てきませんが、有意差がない。つまり、有意差以下や調べられてないだけという可能性も低いと思われます。ただそれには疫学データの裏付けがなければならないという事です。
疫学データ無しに、因果関係なし(Ⅲ)とは診断できません。

という訳でガイドラインが示された以上、読み込んで診療にあたるべきです。

ファイザーは講演会してくれないでしょうから、
誰か詳しい方が分かりやすく要所を抑えた解説などがある事が期待されます。
特にⅡ、Ⅲは文献検索が肝ですので、共有するのが良いと思います。

さて、
では日本でのこのWHO準拠のAEFIはどうでしょうか?
以下、昨年7月の厚労省の資料です。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000822636.pdf
統計学的に有意差が現段階ではない(昨年7月時点)
しかし、心筋炎は因果関係が疑われており、統計学的な有意差に注目していく。

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また、WHOのAEFIにも詳しく述べられており、
WHOのAEFIを参考に因果関係の推定を行なっていく事がわかる。

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2020年8月下旬、心筋炎に有意差があるという論文が出ました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34432976/

上記厚労省の資料で言う所の、統計学的に因果関係が認められた訳です。
厚労省も、心筋炎に関してはⅡAと判断されるだろうと、
科学的思考を辿れば、そう思います。


追記です

WHOによるコロナワクチン安全性サーベイランスマニュアルがありました。

https://apps.who.int/iris/rest/bitstreams/1369896/retrieve

上記WHO AEFI が前提になっています。
240ページあるので、読み込めてませんが

AEFI(adverse events following immunization)
に加えて
AESI(adverse event of special interest)が追加されています。
AESIは「特に注意すべきワクチン有害事象」です。

目に止まったAESIの注目点としては
・VAED 通称AEDの可能性にもかなり重点を置いて言及している。
・積極的なサーベイランスの重要性を強調している。
・思ったより多くの疾患を想定している。

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そして、基本的に主張されているのは、このサーベイランスの重要性です。

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ワクチン後遺症忌避が医師に蔓延しています。
しかし、サーベイランスを放棄する事が、最も公衆衛生上の害であることを自覚してください。
WHOという、世界が認める公的機関の指針です。
世界中の専門家が下した結論です。
独自のワクチン後遺症忌避などという理論を展開せずに、まずはWHOの政策を取り入れるべきでしょう。

そして、「特に注目すべきワクチン有害事象」であるAESIに関してです。
繰り返しアクティブサーベイランスの重要性が説かれています。
我々はAESIの可能性も念頭に置きながら診療を行う必要性があるでしょう。

AESIに関してはアクティブサーベイランスを行うべきと繰り返し主張されています。