第20回Mt.富士ヒルクライム:みんなでゴールドを目指すということ
今年もMt.富士ヒルクライム(以下富士ヒル)が終わった。
個人的な結果で言えば、2022年の記録を3秒だけ上回る64分25秒で自己ベスト、3年連続4回目のゴールドリングを獲得。
しかし、トレインとしては私以外にカンさんと当日合流のnYoloさんの2名のみがゴールド、他のメンバーは途中で脱落しシルバーという悔しい結果であった(それでも世間一般から見たら死ぬほど速いんですけどね!!!!)。
レースレポートと共に、二年間に渡って追いかけてきた
「みんなでゴールドを獲る」
という目標について書いていきたい。
ゴールドトレイン結成の経緯
事の発端は昨年初め頃(多分)。
富士ヒルでゴールドを獲りたい!というメンバーが集まりグループを作った。その時点では私は参加していない。
確か5月ごろ、たまたまライドでご一緒したメンバーの中にゴールドトレインの鈴なり妖怪こと鈴さん、そしてダイガクさんがいた。
なんとなく「今年の富士ヒル、どう走るか迷ってるんですよね〜」という話をした。私はこの前年(2022年)に自己ベストを出しており、そこよりは若干力が劣っている自覚はあった。目標を見失っていたのだ。
ぜひゴールドトレインに加わって走りませんかとお誘いを頂き、それなら一緒に頑張りましょうとグループに合流。
仕事柄なかなか一緒に練習は出来なかったものの、常日頃から連絡を取り合い作戦を立て本番に臨んだ。
しかし結果は残酷で、中盤までにトレインは崩壊し「みんなでゴールド」という目標は未達。
大会新記録で年代別優勝を果たしながら悔し涙を流す鈴さんの姿が心に響いた。「来年こそみんなでゴールドを獲りましょう!」と誓った。
そこから時は流れ2024年。それぞれのシーズンを過ごし、今年こそゴールドを獲れるよう力を付けてきた。
登場人物紹介
・鈴さん(鈴なり妖怪 鈴)
恐らく日本人女子では最強クラスのクライマー。強すぎて実業団レースでは男子カテゴリーに放り込まれている。今期は海外レースも経験し更に成長中。
・マサユキさん
長身痩躯、お洒落な激坂大魔王。顔の広さが驚異的で、会場では常に誰かに挨拶している(偏見)。昨年はピークを外してしまい前半で脱落したが、今年はどうか。
・カンさん
筋肉の鎧に包まれたトライアスリート。昨年が富士ヒル初参加で、中盤で千切れながらも68分台を記録した。実業団レースではアマチュアトップカテゴリーのE1で活躍している。大好きなウエイトトレーニングを封印し小さくなる筋肉に涙を流しながらゴールド獲得に賭けてきた。
・よじさん
50代でのゴールドという高い目標を掲げる。マサユキさんと同様の絞り込まれた体型で、2人が並ぶと完全にLEONか何かの撮影である。脚の仕上がりの具合から、今回はゴールドへの挑戦ではなく別での出走を選択した。
・ダイガクさん
同い年の関西サイクリスト。子育てもしながら熱心にトレーニングを重ねるも、直前に謎の体調不良で一ヶ月の休養を余儀なくされる。なんとか回復し出走はできるものの、力は戻らず今回は別で走ることに。
・はやとさん
ダイガクさんと旧知の仲で、今年からトレインに加わったトライアスリート。昨年後半はマラソンにフォーカスしサブスリー、そこから自転車に切り替えてゴールドを狙う。深部体温計を活用したヒートトレーニングや二重閾値トレーニングなど、トレインメンバー随一の理論派としてこの半年で急成長を遂げてきた。
・あみのさん
実業団レースも走る、スポーツイベントの中の人。昨年ギリギリで70分を切り、今年はゴールドを狙えるかどうか…?というところでこちらのメンバーからお誘い。ロードレースに出ていてインターバル耐性があるだろうということで、トレインの殿で交通整理(割り込みをブロック、千切れ予防の声掛け)をしてもらうことに。最後まで仕事を務めた報酬はゴールドリング。
・nYoloさん
はやとさんのお知り合いでロングライドの超人。東京から大阪まで20時間を切るらしく、自転車よりは鉄道の仲間かもしれない。あみのさんの更に後ろで脚を温存しながら待機し、万一の時は予備戦力として出動してくれる。実は足指を骨折している。
個人的な仕上がりについて
昨年久々にフルマラソンを走ったら意外と良い記録が出た(2時間43分)ことで調子に乗り、年末に箱根駅伝復路のコースを全部走ったら膝を痛めた(完全に自業自得)。腸脛靭帯炎や膝蓋下脂肪体炎の影響で1月はほぼ乗れず2月も距離を踏むことができなかった。
普段は冬場にひたすら距離を踏むことでベースを作り春から高強度に刺激を入れていくのだが、今年はそれが逆になった。寒いうちは膝が痛くならない時間内で高強度で追い込み無酸素域やVO2maxを引き上げ、膝が治った春になってからロングを走って有酸素系の代謝能力に昇華させるイメージ。
これは結果的にうまくいき、4月後半には5分パワーあたりは過去最高を記録、5月には都民の森など長い峠でも自己ベストを出すぐらいの力は付けられた。
ただ、ピーキングはやや失敗。大きな波のピークは5月前半ごろに来てしまった。走りながら「これはミスったな…」という自覚があり、5月も後半になると疲労の蓄積もありそれほど踏めない脚になってしまった。
ここで焦らないのが大事と言い聞かせ、ラスト1週間はかなり思い切って練習量を落とした。前日朝の時点で脚は軽く、なんとか間に合ったという感じ。
前日はいつも通り夕方まで仕事をしてから同宿の知人をピックして河口湖へ向かい(はやとさんに前日受付を依頼していた)、21時過ぎには就寝した。
当日朝、出走まで
雨の音で何度か目が覚めつつも、例年通り3時起床。最近睡眠時間の確保がおろそかになっており少し疲労感がある。
買っておいた団子と野菜ジュースなどでカロリーと水分を摂取し、4時過ぎに車で指定の駐車場へ移動。もう雨は止んでいた。割り当てられた富士五湖聖苑の駐車場は舗装はされているもののやや傾斜しており、アップ用のローラーの設置には少し苦労した。
いつも通りしばらく軽く回してから30-30のインターバルで徐々に負荷を掛けていく。調子はいい。
路面は濡れているが雨は止み、気温もさほど低くない好条件。脚と腕にホットバルムを塗ってVelotozeのシューズカバーを付け、それ以外の雨装備は置いていった。
何人かのメンバーが宿泊しているホテルの前で一旦集合してから会場へ。今回からは第3〜第7の各ブロックの中をさらに1〜8のウェーブに細分して出走する形式で、我々は第3スタート第3ウェーブの先頭ということになった。本来6時から会場内整列開始とアナウンスされていたが、実際には30分以上早く開場してしまい前方ウェーブには大量の選手が既に並んでいたのだ。
「流れを作ってくれる人が前方にいない」ということではやとさんは不安を口にしていたが、自分たちの意思で全てを動かせるという意味で私の感覚ではむしろちょうどいい場所だと感じた。人が増えれば増えるほど余計なリスクも増える。我々は自分たちの力のみに頼ってゴールドを獲ることを選択したのだ。
午前7時46分、ゲストの別府史之さんを先頭に号砲を受けスタート。
我々の戦いが始まった。
レース本編
スタート
会場を出て左折するとしばらくはパレードラン・・・ペースが遅い。
待機時間にだいぶ冷えてしまったので本当なら少し負荷をかけて身体を温めたいところ、さすがに別府さんの前をぶっちぎる勇気は誰にもなく自足10㎞程度の超低速パレードがしばらく続く。
最初の丁字路を右折する手前で誰かが間違えて「ひだりーーーーー!!!」と叫ぶ。「右です」「右だな」「心理戦がwww」と集団の空気も和やかになり、もうしばらく走って次こそ左折するといよいよ計測開始地点。
計測開始地点直後に後方何人かが車輪をハスったか何かで一瞬危なかったものの、とりあえずスタート。
ローテ順は私→マサユキさん→はやとさん→カンさん→鈴さんの順で、その後ろに固定で網野さん→nYoloさんがぶら下がる。ただ、序盤は他のトレインと混走になる可能性が高く混乱につながるためローテーションはせず私が先頭固定でペースを作る。ここは昨年と同じ作戦。
二合目まで4.8W/kg→大沢まで4.7W/kg→ラストまで4.6W/kgという標高を考慮したペーシングを決めていたので、まずはそれを目安に踏んでいく。
ウェーブ最前方でスタートできたため、前方にはほとんど人がおらず本当に走りやすい。富士ヒル8回目にして一番走りやすく感じた
料金所(建物)通過が1分45秒ぐらいで想定より数秒遅れ。でもこのくらいは気にしない。急勾配区間で二人組にかなりの勢いで抜かれたがこれも気にしない。マイペースを貫く。
一合目下の通過は10分49秒と予定より若干の遅延。パワーのわりに速度が乗っていない気がする・・・
崩れゆくトレイン
一合目下の先にある緩斜面でスピードを乗せ、急斜面に移るところでローテーション開始。まずはマサユキさん。しばらく調子を落としていたが今のところ大丈夫そう。5km通過も15分20秒とやや遅れているが許容範囲か。
はやとさん、カンさん、鈴さんと均等にローテを回し再び私の番。無難に引いて交代する時にマサユキさんに声を掛けると、「もう余裕ないよ〜!」と返ってきた。声は元気だがペダリングには力みがある。ちょっと早めに交代して下がってきて……その後マサユキさんの姿を見ることは無かった。やはり本調子ではなかったか…
このトレインの唯一絶対のルールは"ゴールドを獲得できるペースを維持する"こと。遅れるメンバーがいても待つことはできない。
一人減ったローテがもう一周し、気がつけばもう二合目、そして間もなく10km地点である。
通過タイムは28分37秒…やはり20秒前後の遅れ。大した問題ではないが、今思えば「遅れている」という事実がみんなの精神的余裕を少しずつ奪っていたかもしれない。
ここで先行する大きめのトレインを右から追い抜く。ここには普段一緒に練習しているメンバーが数名入っていた。70分切りを目指してEMUジャージの選手が先頭固定で力走している。二番手は女子年代別連覇を狙う知人のみつぱさんだ。
そのトレインの後方には同宿のカレー屋YUIさんがいて、彼からカレーを託されたはやとさんは頂上でナンを持つみつぱさんにそれを渡すため…
というサイドストーリーを挿入すると文章が崩壊しそうなので控えることにする。
追い抜きざま、お互いにエールを交換して追い抜いていく。
ここで鈴さんからローテを飛ばす宣言が聞こえた。このトレイン、ローテを飛ばしたり早めに交代するのは自由である。辛くなったら後方で休み、その間は設定されたペースを維持できるメンバーで回す。誰も前を引けなくなったらトレインの敗北、というだけである。
助っ人現る
回せるメンバーが減れば個々の負担は大きくなる。まだ半分も来ていない…
ここで後方から「にょろさーーーん!」というはやとさんの声が響いた。
nYoloさんはあみのさんの後方にいたはず。それを呼び出すということは、あみのさんが千切れてしまい隙間が空いているということを意味する。
あみのさんも先週末のレースで受けたダメージが回復していなかったのだろう。粘ってくれることを願いnYoloさんの登場を待つ。
へんじがない
はやとさんがもう一度「にょろさーーーん!?」と叫ぶ。もしや後方に取り残されて声が届いていないのか?場合によっては少し緩めてトレインを再構成しなければならない。
先頭を引いていた私も大声で「にょろさーーーん!!!」と叫ぶ
…が、普通に後ろにいた。返事はしていたが声が小さいだけだった。
安堵しつつ車列の左を下がりnYoloさんの後方に着く。崩れかけたトレインに心強いエンジンが一基増えた。
私より小柄な方だが、ペダリングが力強く背中が大きく見える。パワーメーターの電池と蓋を下山荷物に預けてしまった(なぜ…?)ということでパワーは分からないが、後ろからたまに微調整の指示をする程度でかなり正確にペースを刻んでくれる。
このあたりから南風が強くなってきた。コースは南に向かっているため完全に向かい風だ。なんとか出力を維持するが、私も正直余裕は無い。三合目の通過が36分ちょうど。高地に弱い私はそろそろ酸素の薄さを感じるようになり、深呼吸を繰り返しながら残り28分を生き残る戦略を立て直す。
これまで一人2分で回してきたローテ間隔を短めにして消耗を最小限に抑えるよう心掛けながら進んでいく。
しかしここで一旦はローテに復帰した鈴さんがトレインから脱落してしまった。
まさかの事態である。
昨年の富士ヒルを終えて以来、人一倍のトレーニングを重ねて実力を付け、正直今回のトレインでは一番ゴールドに近いと思っていた。
彼女も今年の富士ヒルに賭ける想いは誰よりも強かっただろう。だが、今日はバッドデーだったのだ。悔しかっただろう。
しかし待つことはできない。我々は"ゴールドを獲得できるペースを維持する"だけだ。
ギリギリの攻防、そしてフィニッシュへ
ローテーションを繰り返しながら大沢目前というところで、タイムスケジュールからの遅れが明白となってきた。
「大沢は47分台で通過したいけど、人数揃ってれば48分過ぎてても大丈夫だよね」と事前に話していたが、大沢の看板を通過したのが48分33秒、そしてトレインは残り4名。このままでは全員沈没ルートだ。
「ちょっと遅れてる。上げます!!」
そう宣言し、追い風と緩勾配も活用してペースを上げる。
このペースアップではやとさんが限界を迎えた。
特に断末魔を上げた訳ではなかったが、後ろにはカンさんとnYoloさんしかいないのが直感的に分かった。
昨年末のマラソンサブスリー達成以来、理論的なトレーニングを高密度に積み重ねて実力を急上昇させてきたが、大沢までの向かい風、そしてメンバーの脱落による高頻度のローテーションで消耗した脚にこのペースアップは耐えられなかったのだ。
だが、"ゴールドを獲得でき(略)
山岳スプリット区間は再び向かい風になるが、残った3人で短めにローテを回して突き進む。脚の疲労感は強いが、追い風も味方しペースは維持できている。20km通過は56分17秒と、ここに来て何とかオンタイムに乗せられた。
最後の急坂、奥庭を登りきったところでギリギリ60分を切っていた。平坦区間の風向きが悪くなければ安全圏のタイムだ!
先頭はnYoloさん。すぐに踏み始めようとするのを止めて、後ろがある程度繋がったのを確認しGOサイン。
別に待つ義理は無いとはいえ、平坦区間は人数が多いに越したことはないはず。後ろに人がいるだけで整流効果がある。
一人だけ選手が飛び出して先行していったが、集団は相変わらず先頭3人でローテを短く回して突き進む。強めの追い風のおかげでかなりペースは速い。行ける!!
ラスト1km。ここで後方に着いていた選手数名がかなりの速度差で一気に飛び出していった。
もう少しじわっと上げてくれれば全体のペースが上がるんだけどな…と思ってしまったが、カンさんはそれにしっかり反応して上がっていった。私はもう踏めなかった。それが全てだ。
ラスト700m。トラブルさえ起こさなければゴールド獲得はほぼ確実だ。
もう脚は残っていない。前に上がりたい選手の邪魔をしないようラインを外して自分のベストで登る。
ラストのトンネルを出るところで右からnYoloさんが上がってきた。「にょろさんラスト!!!」と叫ぶ。急遽トレインに加わり素晴らしい仕事をしてくれた彼に対するリスペクトを込めた一声だ。
計測ラインを抜ける瞬間にラップボタンを押す。64分25秒。自己ベストだ。
フィニッシュ後
わずかながら自己ベストを更新した安堵、カンさんnYoloさんがゴールドを取れた嬉しさ、しかし全員でゴールドを取れなかった悔しさ。
色々な感情がまとめて押し寄せるなか、最後まで共に戦った二人と健闘を讃えあいながら下山荷物受取場所へ向かった。
霧の中を走り続けたのが嘘のように、晴れ渡った富士山頂が姿を見せてくれた。
荷物を持って頂上に戻ると、鈴さんもフィニッシュしていた。顔を上げられないほど号泣していた。私には想像もつかないほどの悔しさがあっただろう。背中を叩いて「お疲れ様、よく頑張った」と声を掛けるしかできなかった。
そこにダイガクさんが現れ、無事の完走を祝うことができた。一時は歩くことすらままならない状態だったのに、なんと見事70分フラットでの完走である。ダイガクさんも相当量のトレーニングを積んでいた。それがゴールドという結果には実らなかった悔しさを表に出さず、優しく鈴さんを励ましていた。相変わらずカッコいい漢だ。
我々のトレインの後ろにぶら下がっていた選手たちの中にもゴールドを獲得できた選手がある程度いたと思う。名前も知らない人たちの、本当にゴールドを取れるか確証も無い集団に身を預けるという賭けに勝ったのだ。
勇気を持って賭けに出て、集団後方のインターバルに耐えきったみんなも素晴らしい。
皮肉でも何でもなく、心から言おう、おめでとう!!
下山コントロール隊の任務をこなして会場に戻り、トレインメンバーと合流し写真を撮った。nYoloさんにはもう会えなかった。彼無しでは昨年の二の舞になっていたかもしれないし、本当はもっともっと感謝を伝えたかったが。
会場ではたくさんの知人に会えた。
目標を達成し嬉しそうな人、思い通りの結果が出ず悔しさを隠せない人、大怪我や病気から見事に復活を遂げた人。それぞれ結果を伝え、健闘を讃え合う。
年齢も性別も関係ない。スポーツの大会で大人になってからこんなに熱くなれるとは思ってもいなかった。
おわりに
トレイン戦略について
今回ゴールドトレインとしての戦略は、「他のトレインや選手の力に一切期待しない、自ら全てをコントロールする」が基本だった。
富士ヒルで一定以上の記録を狙う場合、ある程度大きなグループで走った方が空気抵抗の点で有利だ。
ただ、知らない人たちと大きなグループを組むというのは種々のリスクがある。
・集団内での中切れ
・接触、落車
・ペースが遅く修正できない
こういったリスクを考えると、意志を共有する見知ったメンバーのみでローテーションをしながら進むのが一番リスクが少ない。
ただ、大集団より空気抵抗を大きく受けるしそれぞれが先頭を引く頻度も上がる。つまり、全員に高い実力が求められる。
今回メンバー全員でゴールドを達成できなかったのは、端的に言えば「実力あるメンバーが足りなかった」からである。
しかし、今回ゴールドを穫れなかったメンバーも、それぞれ練習ではかなりいい調子で走れていた。つまり、少し掘り下げれば「ピークを合わせるのに失敗したメンバーが多かった」ということになるだろう。
ピーキングは個人差が大きく、確たる正解というものは今のところ存在しない。私は経験上ある程度狙ったレースにピークを合わせることはできるが、それでも今回の仕上がりは85%ぐらいだった(みんなを不安にさせても仕方ないからレース前には言わなかったが)。
もし来年またこのトレインが結成されるなら、それぞれ身につけるべき課題は
・85%の状態でもゴールドを穫れる地力
・どんな時でも85%までは持ってこられる調整力
の両方だろう。
また、レース前もレース中もメンバーの不安を解消しきれなかった私自身の精神的な未熟さも反省しなければならない。
試走でタイムが出なくても大丈夫、前に選手がいなくても大丈夫、通過タイムがちょっと遅れているぐらい大丈夫・・・これを説得力を持って伝え、皆を安心させて落ち着いて走れればもう少しだけ結果が変わっていたかもしれないと感じている。そのくらい精神状態は運動能力に影響を与えると思っている。
私自身の今後の話をすれば、これから生活パターンが大きく変わるため来年富士ヒルに出られるかは分からない。今年で最後にしようと思って走ったというのも事実だ。
もしかしたらゴールド獲得に向けて突き進むトレインメンバーを画面の向こうから見守るだけかもしれない。
それでも、日々のやり取りやトレーニングを通じてみんなの切磋琢磨の道具にでもなれればいいと思っている。
御礼
今大会まで一ヶ月ほどのタイミングで、大沢駐車場付近でスラッシュ雪崩が起き道路が損壊しました。 一時は開催すら危ぶまれる路面状況だったものが、当日までにすっかり補修され何の問題もなく全力でレースを走ることができました。工事関係者の皆さまの迅速な作業には心から感謝します。
また、毎年毎年ボランティアとして大会を支えてくれる皆さま、運営役員の方も20回という節目の大会を盛り上げて下さり本当にありがとうございました。
特にフィニッシュ地点の下山荷物受け取りの速度は年々上がっており、歩いていったらノータイムで自分の荷物が出てきて驚愕しました。少なくともここに関しては間違いなく日本最高の運営体制だと思います。
来年以降もこの大会が夢を追いかける場として末長く続いてくれることを願います。
応援して下さった方、ゴールドおめでとうと声を掛けて下さった方、そしてこの異様に長い文章を最後まで読んで下さった皆さま、本当にありがとうございました。
終わり
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