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大会アンケートからオリエンテーリング界のPDCAサイクルを回したい

胡散臭いタイトルですみません。全日本ミドルロングにて広報責任者として作成・実施した「大会アンケート」について、その①作成背景・狙い②分析結果をまとめました。全日本関係者の皆さんや毎年開催の大会などを運営していらっしゃるオリエンティアの皆さんのご参考になれば幸いです。

はじめに

生存報告

こんにちは。裏AdventCalendar17日目の枠を拝借しました、若月俊宏(@tossy5075)と申します。

学生時代はコロナ最盛期に関東学連と日本学連で幹事長をしたりしていました。90%が男性で95%が院進する某大学を学部で抜け出して、現在は某組織人事コンサルティングの会社で働いています。

めっきりオリエンテーリングの大会に行けなくなってしまっていますが、無事生きています。ご安心ください。

今年のハイライト

社会人になってオリエンテーリングからかなり離れてしまった私ですが、昨年の日本学連幹事長に続いて今年も大きなチャレンジの機会をいただきました。全日本ミドルロングの広報責任者です。

まさか4月から社会人として8-22時で働くことになるとは露とも知らず、
二つ返事で承諾してしまう卒論終わり春休み大学生の図

「大きなのチャレンジの機会」というと聞こえはいいですが、仕事との両立ができず運営者各位にはたくさんご迷惑をおかけしました。

「これで人が来なかったら、一生オリエンの大会には顔出せないな…」と追い込まれておりましたが、ここ数年で築き上げられてきた全日本ブランドや広報班メンバーにも助けられ、結果的には1000名の大台を超えるオリエンティアの皆様にご参加いただくことができました。

改めてご参加いただいた皆様には、感謝申し上げます。ありがとうございました!

本題

物議を醸した大会アンケート(DO)

ようやく本題に入りますが、全日本ミドルロングでは広報責任者として、大会アンケートの作成も担当しました。設問数は驚異の50問。定性コメントに「アンケートが長すぎる」とのご回答をいただくくらいにはボリューミーなものを実施しました。

所要時間:約5分(全力)

結果的に350名の方にご回答いただいたこのアンケートですが、参加者の皆様の声をもとに大会運営のPDCAサイクルを回すことを狙った仕掛けを施しておりました。

アンケートの構造(CHECK)

私は大会のリピーターを増やす1番のポイントは「参加者の期待を正確に捉え、それに応えること」だと考えています。

ここでいう「期待」は大会によって異なります。例えば、東大大会と留年大会を比較すると、それぞれで参加者が期待することってたぶん違いますよね。東大大会の給水でアルコールが出された場合、下手したら提訴ものですが、留年大会の場合はむしろ参加者は喜んでくれます。

このような背景から、今回作成したアンケートでは「全日本ミドルロングへの参加者の期待」を正確に捉えるために、各項目で「期待度」と「満足度」の2つを5段階評価で問う仕組みとしました。

実際のアンケートデータ

上の図は実際のアンケートデータになります。

仮に「満足度」を問うだけのアンケートを実施した場合、一見次回に向けて着手するべき項目は「生配信が充実していること」「参加しやすい価格帯であること」「参加者同士の交流の場があること」であるように見えます。

しかし「期待度」のデータと合わせて分析をしてみると、生配信や参加者同士の交流の場は、「運営者が思うほど参加者は求めていないかもしれない」ということがわかります。

参加者の期待に応えるという観点では、むしろ見直すべきべきは「各クラスの難易度」や「各クラスの距離設定」「価格帯」かもれないということがわかる、というわけです。

「参加者の期待を正確に捉え、それに応える」を徹底するべし。

by YoungMoon

アンケートをもとに大会を改善する(ACTION)

先にも述べたように、大会のリピーターを増やす1番のポイントは「参加者の期待を正確に捉え、それに応えること」と考えています。この前提に立つと、大会の改善あたっては「期待」と「満足」を擦り合わせていくことが必要です。

各項目を横軸:満足度・縦軸:期待度でプロットしたもの

アンケートの結果から、各項目についてざっくりと以下のようなジャッジを下すことができます。

  1. 「期待度」が高く「満足度」が低い項目
    =参加者の期待する項目に応えられていない状態
    →満足度の向上が喫緊の課題

  2. 「期待度」が低く「満足度」が高い項目
    =参加者の期待の割に、力を入れ過ぎている状態
    →注力具合の見直しor期待度の向上が必要

  3. 「期待度」が高く「満足度」も高い項目
    =力を入れるポイントと打ち手もマッチしている状態
    →一旦、現状維持

  4. 「期待度」が低く「満足度」が低い項目
    =参加者の関心の外にある状態
    →一旦、無視

当然、優先的に着手するべきは1と2に該当する項目になります。

「期待」と「満足」が擦り合っていない項目から着手するべし。

by YoungMoon

全日本大会・委員会への提言(PLAN)

「期待」と「満足」が擦り合っていない項目について、今回の全日本ミドルロングの場合はそれぞれ以下の項目が該当しました。

実際のアンケートデータ(再掲)
  1. 「期待度」が高く「満足度」が低い項目
    下記項目は、満足度を向上させる施策の検討が必要と考えます。
    「2.各クラスの難易度」「3.各クラスの距離設定」「16.価格帯」

  2. 「期待度」が低く「満足度」が高い項目
    下記項目は、予算配分の見直しも含めて施策の見直しが必要と考えます。
    「7.豪華な景品」「9.生配信」「10.ダイジェスト」「14.観光情報」

アンケート結果からは以上のようなことが考えられますが、改善プランを検討する上では、「参加者の期待」とは別軸に「運営者の思惑」があることも私は理解しています。

例えば、「9.生配信」「10.ダイジェスト」はオリエンテーリング界の発展を狙った先行投資であると思いますし、「7.豪華な景品」「14.観光情報」は大会開催の持続可能性を狙った地元への還元とも考えられます。(あくまで私の想像の域を出ませんが。)

しかし、アンケートの参加者の期待度から推測するに、上記のような「運営者の思惑」は十分に理解されているとは言えない状況にあると考えます。運営者(あるいはJOA)と参加者とでは、見ている世界の時間軸も空間軸も当然異なるわけですから、これは一定仕方のないことです。

とはいえ、理解が得られない以上は参加者の期待は向上していきませんし、期待度が向上しない以上は注力し過ぎということになりますから、予算配分も見直していく必要があります。そこにお金がかけられている(それによって参加費が高くなっている)ことがいずれ不満につながってしまうからです。

この前提のもとで、もし先述の項目について「オリエンテーリング界にとって絶対に必要である」という信念のもと、投資を継続するのであれば、その理由を参加者にはもっと説明してあげる必要があると考えます。

期待度の低い項目への継続投資には信念が必要。
運営者は参加者の期待度が高まるような働きかけ・説明責任を果たすべし。

by YoungMoon

おわりに

仕事も大会運営もそうですが「期待値調整」って大事だなと感じます。

仕事であれば協働者との間で、大会運営であれば参加者との間で、事前に期待値を擦り合わせておくことが、物事をうまく進める上で重要なのだと再認識しました。

要項・プログラムのデザインやTwitterでの発信だって、立派な「期待値調整」です。そう考えると大会広報って結構面白い仕事かも…??

そんなことを考えていたら、全日本スプリントでも広報責任者を任せていただくことになりました。奮ってご参加ください!

おまけ

こちらが、実際に作成したアンケートのコピーです。
大会アンケートを作成しようとしている方のご参考になれば幸いです。

Twitter(@tossy5075)までご連絡いただければコピーも差し上げます。
同じ設問のアンケートをいろいろな大会で実施して、大会ごとの特徴が比較できると面白そうだな〜なんて妄想しています。


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