卵かけご飯_TKG_召し上がれ

わかりやすい説明をレシピから考える

わかりやすい説明文とそうでない説明文を、初めて料理を作る人が見るレシピから考えてみます。

★レシピの条件

レシピは、初めてそれを見た人がその料理を完成させるための手順書です。
つまり、わかりやすさが大事なのです。
以下に3つの同じことを伝えるレシピを異なった書き方で書いてみます。(※以下の例はテキトーに書いていますので、この通りに作っても美味しいものができるとは限りません。)
順番にわかりにくいものになるようにしています。
では、例を読んでいきましょう。

まずはわかりやすい例

卵かけ御飯の作り方
【準備物】
温かいご飯、卵1個、醤油大さじ1、ごま油小さじ2、刻みネギ適量、刻み海苔適量
【手順】
1.温かいご飯を器に入れます(適度に冷ますため)
2.別の器に卵を割って軽く溶きます
3.溶いた卵に醤油と好みに合わせてごま油を加えます
4.溶いた卵を適度に冷ましたご飯にかけ、軽く混ぜます
5.好みに合わせて刻みネギと刻み海苔をふりかけてできあがり

次に少しわかりにくい例

卵かけ御飯の作り方ご飯1杯、卵1個、醤油大さじ1、ごま油小さじ2、刻みネギと刻み海苔を適量準備します。まず、ご飯を適度に冷めるように器に移しておきます。次に、ご飯が冷める間に、卵を溶き、それに好みに合わせて醤油とごま油を加えます。ここで、先に器に移しておいたご飯が適度に冷めたことを確認し、溶き卵をそれにかけます。ご飯とかけた溶き卵を軽くかき混ぜます。それにお好みに合わせて刻みネギと刻み海苔を振りかけるとできあがりです。

もっとわかりにくい例

卵かけ御飯の作り方卵を一個溶いて、それに大さじ1程度の醤油と小さじ2程度のごま油を加えてさらに混ぜたものを、事前に器に入れて少し冷ましておいたご飯にかけて、ご飯と卵を少し混ぜて、好みに合わせて刻みネギと刻み海苔を振りかけたらできあがり。


3つの例の違い

1つ目は準備物と手順を分けて、さらに手順も箇条書きで端的に書いています。
2つ目は、箇条書きではないが、一文ごと完結した文にし「一文一工程」になるように書いています。
問題は3つ目の例ですね。全ての工程を一文(句点が1つ)で書いています。
準備物すら文の中で突然現れるから、必要なものも一読するまでわからないというひどい例です。こんな文が提示されたら、中々読解できません。例の場合はよく知られていることなので、大体読まなくてもわかるから問題はないが、初めて聞く話を話者の思いつくままに聞かされたり、読まされたらどうでしょう?きっとスッと頭に入ってこないでしょう。

接続助詞や読点(、)で文を繋げるよりは、一文が長くならないように適度に句点(。)で切ることも伝わる文を作る技術だと思います。

そういう意味では料理のレシピというのはよくできていると思います。
その料理を知らない人でも、書かれている通りにすれば、同じものができてしまうのですから。

短い文は幼稚な文?

一文が短いと幼稚な印象を与えることも確かにありますが、ちょっとカッコつけて長い一文を書いたり話したりするより、簡潔に伝わる方がよほど文としての価値があると思います。

おっと、上の文が長いですね。
書き換えましょう。

一文が短いと幼稚な印象を与えることも確かにあります。ただ、文章の価値は相手に伝わるところにあります。そのため、少々稚拙な文でも簡潔な方がよほど相手に与える価値は大きいと考えます。

3文になり、文字数は少し増えましたが、一文ごとが簡潔になったと思います。
実はうまく繋げる技術よりも適度に切る技術の方が難しいのです。特に話し言葉では、ダラダラと繋げてしまう傾向があります。スピーチをする機会聞く機会があれば、意識してみてください。「あれ3分のスピーチに句点が1、2回しかない!?」っていう人もいます。

以上、伝わりやすい説明文をレシピを用いて考えてみました。

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