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セリエAの見どころ

インテル

コンテの電撃辞任から、ラツィオを率いていたインザーギがステップアップして、インテル監督に就任。

インザーギの監督就任に関しては、コンテと布陣の形は同じであるため、メンバーの入れ替えなどはなさそうだ。この点に関してはGMマロッタの手腕は、相変わらず手堅いというところだろう。むしろコンテ時代には少し弱かった高い位置での守備という点は、インザーギ監督のもとで改善が見られるかもしれない。この高い位置での守備と言う点が、コンテが欧州で結果を残せていない要因の1つでもあるので、インザーギの手腕に期待したい。

さて、インテルといえばオーナーグループの財政が危ない。そのためハキミをPSGへ放出し、補強の動きもフリーのチャノハノールくらいしか聞こえてこない。ハキミの攻撃力を失ったことは、インテルとしては痛い。この部分はカバーが難しいので、別の部分をグレードアップして埋めていきたい。そして、それがチャノハノールと彼を活かすインザーギの手腕となるだろう。

ミラン

上位陣の中でも継続性のあるミラン。監督であるピオリをSDマルディーニがしっかりと信頼していて、チームもフロントも軸があってしっかりとしている。若い選手とベテランを組み合わせながらも、全体的には若いチームを作り上げている。

ただ、選手の入れ替わりは激しい。ユーロ2020のMVPであるドンナルンマと契約を更新せず、フランスのリーグアン王者リールの正GKマニャンを獲得。さらにチャノハノールとも契約更新には至らなかった。チャノハノールはローカルライバルインテルへと移籍していった。また、マンジュキッチも契約更新せずに、チェルシーからジルーを獲得。

チームとしては昨シーズンから積み上げたものが、選手の入れ替わりによって、どのように変化していくのかがポイントになってきそうだ。

また、ミランの中心選手であるイブラヒモビッチの年齢と、それによる離脱の多さも懸念事項。さらにチーム戦術のベースにあるマンツーマン気味の守備も、試合によっては簡単に崩される試合もあった。

クラブ自体のチーム作りの軸がしっかりしていても、財政的な問題であったり、選手の入れ替わりの激しい若手中心のチーム作りであると、懸念事項が増えてしまう点は否めない。

しかし若いチームであるからこそ、選手たちの成長がチームの成長にも繋がる。トナーリ、ディアス、レオンら、ポテンシャルのある若手がどれだけ成長を見せられるかが、ミランの順位に直結してくるのだろう。


ユベントス

アッレグリ復帰となったユベントス。監督の手腕は間違いないが、まず問題になりそうなのがアッレグリのシステムにしっかりとロナウドを組み込めるのかだ。

ロナウドの扱いについてはピルロ、サッリともに苦労させられていた。どのような布陣、システムで対戦相手も考えながらロナウドをどこに、誰と、配置していくか、どのようなタスクをロナウドに与えるか、に注目だ。

チーム全体をみると、ユベントスにはディバラ、ロナウド、モラタ、クルゼフスキ、キエーザ、ベルナルデスキと攻撃のタレントは多い。チームのローテーションも可能で、CL、リーグ戦共に結果を期待できそうな戦力が整っている。ここで問題になりそうなのがDFラインだろう。昨シーズンもボヌッチ、キエッリーニは、フル稼働したとは言い難い。デリフト、デミラルら若い選手たちの奮闘も必要になってきそうだ。

ロナウドとどのような選手がどのような役割で起用されるか、若手DFたちがチームを引っ張れるか。ここがユベントスのキーになる。
アタランタ
昨シーズン、ミラノ勢の強さもあって苦戦していたアタランタ。ギリギリCL出場権確保となった。ただ、クラブ規模を考えれば偉業であり、監督ガスペッリーニとフロントは評価されてしかるべきだ。

さて、アタランタは主力であったゴメスがガスペッリーニと衝突してセビージャへ移籍。さらにイリチッチも起用法に不満があると報道されており、移籍の噂も流れている。今までアタランタを引っ張っていた攻撃陣は年齢もあって、新しい形を模索しているようにも見える。

マリノフスキーはセリエAでアシスト王となり、ペッシーナはユーロ2020でも2得点と活躍。今までイリチッチ、サパタ、ゴメスの3名が絶対的な存在だったが、ここに来て大きな変化が見られる。ただ、勝負所で頼りになるのは、イリチッチであることも多いため、今シーズンにマリノフスキー、ペッシーナがマークがきつくなってくるなかで、どれくらい数字を残せるかがシーズンを決めそうだ。

ただ、昨シーズンセリエA最優秀DFに選出されたロメロ、正GKゴッリーニが、スパーズへ引き抜かれるなど、クラブ規模の差から選手の入れ替わりは激しい。アタランタも移籍を見越して、ヴェローナからロヴァト、ウディネーゼからムッソを獲得したが、ロメロの穴を埋めるのは難しいだろう。ディフェンス面では少し不安要素もある。

大きな変化の時を迎えるアタランタが、その変化を活かして成長できるかに注目したい。


ナポリ

ガットゥーゾ監督の元、組織的で強固なチームを作り上げたナポリ。しかし、結果は4位となり、ガットゥーゾは解任となった。後任にはスパレッティが招聘され、チームをスパレッティが作っていくことになる。

さて、ナポリはガットゥーゾの前は、アンチェロッティが監督だった。アンチェロッティはCL3度優勝の名将であり、ミラン、レアルマドリーといった世界のスーパースターだらけの一癖も二癖もあるベンチを、1つにまとめる手腕が高く評価されてきた。しかし、ナポリでは選手たちの人心掌握に失敗。とくにリーダーインシーニェと起用法をめぐって衝突したと言われている。

あのアンチェロッティが失敗するほど、ナポリというクラブのベンチを掌握することは難しい。そんなナポリを新監督スパレッティが掌握しきれるか。この部分がナポリの将来を大きく左右しそうだ。

戦術的に言うと、スパレッティとガットゥーゾ両者が採用するシステムなどは共通点があるため問題なさそうだ。ただマネージメントの部分ではあるが、ナポリは昨シーズン中央の選手の離脱が多かった。そこが原因となって昨シーズンに勝ち点を落とした試合もあったので、今シーズンはスパレッティがマネージメントできるかどうかに注目したい。

ラツィオ

ラツィオは長くチームを率いてきた、インザーギ監督が契約更新せずにインテル監督へ就任。結果、ラツィオはフリーだったサッリ監督を招聘することになった。

サッリ監督はナポリ、チェルシー、ユベントスとビッグクラブ、メガクラブを指揮してきたいが、今回はラツィオの監督に就任となった。本人談では、ユベントスでは選手のマネージメントが難しかったらしい。それでも優勝したのは評価に値すると思う。

さて、ラツィオにサッリが就任して、サッカーの内容面もサッリのスタイルへと変貌するだろう。選手に合わせて形は変えても中身は、ナポリでのサッカースタイルと近いものになりそうだ。また、選手の質もチェルシー、ユベントス時代と比較すれば、マネージメントしやすいだろう。ラツィオの選手たちにとっても、インザーギ監督がやや長期政権だったこともあって、変化を楽しめる環境にあるはずだ。

心配な点があるとすれば、守備面。とくにナポリ、チェルシー、ユベントスと比べれば守備陣のタレントという点でラツィオはやや落ちる。そんな守備の部分をシステム、前線含めた全体でいかにカバーできるか。また、補強による援護があるか否か。もしくは若手抜擢などのウルトラCがあるか。そのあたりに注目したい。

ローマ

ローマに関しては、以前に記事もアップしたが、モウリーニョのサッカーが大きく変わったセリエAの中で適応可能か否かにかかっている。

現在のセリエAは、攻撃的なチームが増加し、以前のように堅守だけのチームでスクデットを獲得するのは難しい。

ただ、スパーズ時代もケインは得点王、アシスト王を同時に獲得し、ソンフンミンとケインのコンビが歴史上で最も得点を生み出した。そう考えるとローマにもザニオーロ、ペレグリーニ、エルシャーラウィーのようなポテンシャルを活かしきれていないタレントがいる。彼らのタレントをモウリーニョが活かしきれれば、CL出場権獲得やスクデット争いも期待できそうだ。

ただ、過去を振り返ると、モウリーニョのチームの完成は2年目。1年目は整備と補強ポイントの割り出しになりそうだ。そのため、少し肩の力を抜いてモウリーニョローマを見るのがいいのかもしれない。

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