U21イタリア代表の敗退と評価
U21欧州選手権、決勝トーナメントでU21イタリア代表は3-5でポルトガル代表に敗退。2度追いついたものの、延長戦の末、退場者を出してポルトガル代表の前に力尽きた。
敗退
敗退に関しては、しょうがない印象。この世代のポルトガル代表は黄金年代と呼ばれており、U17欧州選手権でも優勝している世代だった。中盤の選手が各自でポジションチェンジを判断しながら、ポゼッションしていくスタイルは圧巻だった。
イタリア代表としては、2度リードを許しながら追いついたことを評価したい。
この世代のイタリア代表はセリエA経験組、セリエB経験組で分かれている。とくにセリエAを経験している選手たちは、レギュラーを確保している選手もいて、個々の能力が高かった。ロヴェッラ、ポベガ、シカマッカ、ラスパドーリ、ロバートらは、それぞれ個性があり見ていて楽しい選手たちだった。
また、半分ネタになってしまうが、今回のU21ユーロ本大会でイタリア代表は全試合で退場者を出した。ただの偶然なのか、何か原因があるのかわからないが、これに苦しんだことは確かだろう。それでもスペインと同組ながら予選リーグを勝ち上がったのは立派だった。及第点を与えられるべきチーム、世代だったと考えている。
ゲームモデルの統一への疑問
さて、このイタリア代表は予選ラウンドで433にチャレンジしていたが、本大会前に532へシフトした。5バックでスペースを消すよりも人に対してディフェンスするシステムだった。ここは退場者を出しまくった原因の一つかもしれない。
ポゼッションでも3バック+アンカーのひし形でボールを動かしながら攻撃していくコンテスタイル。ポルトガル相手でもしっかりとポゼッションからチャンスを作っていた。
ただ個人的に疑問なのが、A代表では433をベースにしているのに、U21では3バックで重心を後ろにした形でいいのか、だ。
U21という年代は育成年代というよりは結果を求められる年代ではある。しかし、結果よりも内容という点で、かなり評価が分かれるところだ。
勝つために5バックで守りバランスをとることを重視しているが、これではラスパドーリ、シカマッカらの攻撃陣のタレントを100%発揮できていただろうか。もう1枚タレントを前に集めて、タレントを活かすという手はなかったのだろうか。
イタリアサッカーの弱体化の大きな原因の1つは、タレントたちを活かしきる方向でなく、相手のタレントを無力化する方向へ舵を切りすぎたこともあると管理人は考えている。スペイン、ポルトガル、ドイツ、フランスなどの他国をみながら、結果よりもタレントが活きているかどうか、にも重点を置いて欲しい。そういう文化がなければタレントが育たないし、生み出されたとしてもバッジョのような悲劇が続くだけだ。
個人的には選手たちから逆算するというよりは、目の前の試合で勝ち点1でもいいからもぎ取るための布陣に見えてしまった。
ドイツ代表も、ポルトガル代表も、育成に関しては年代別であっても、ゲームモデルは統一しておこなうのが通例だ。現在のイタリアA代表とU21代表では、そこのゲームモデルが共有されているかどうかが怪しい。
ここの部分は目の前の結果にとらわれずに、長期的視点をもってタレントたちがA代表へ昇格しても対応できるような形を再整備することが大切ではないだろうか。
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