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知りたくない~再びこども病院受診~


クリニックの紹介でこども病院を受診しましたが、診察の結果そこまで心配することもないようでした。

安心したのも束の間、その検診から一週間と経たない日に出血。妊娠24週と2日。妊娠7か月に入ったばかりでした。

その時のことは、こちらの記事に書いています。


幸いその晩、再度の出血はありませんでした。
主人が出張で不在のため、病院を受診するのに、近所に住む義両親を頼りました。

義父の運転する車で息子を幼稚園に送り届け、そのまま義両親と病院に向かいました。

車中、心配してくる義両親に
「お腹に残っている血が出たんだと思います。そんなに沢山じゃないから大丈夫。」
「お腹に残ってる血が出きっちゃって、逆に良かったのかも」

義両親を無駄に心配させたくなかった。自分にも大丈夫と言い聞かせたかった。


2回目のこども病院。

義父は「駐車場に停めてくるから先に行ってて」と言って、玄関前に車を停車してくれました。
一週間待たずに来ることになっちゃったなと思いながら、先日緊張しなが歩いていた自分を上書きするように、同伴してくれる義母を案内しながらロビーを横断しました。


受付をすませて産婦人科外来へ。

前回と同じく人気が少なく、真っ白い空間は、時空が異なる異世界のようでした。身長と体重などを一通り測り、義母と診察室に入ると、前回とは違う医師が固い表情で座っていました。

「胎児が小さい」
沈黙・・・
だからここに来たんだけどな・・どうして私の顔も見ず、怖い顔でこんな宣告するような強い言い方をするんだろう。
こんな威圧的な言われ方するの嫌だな。

「羊水が減ってる・・・」
それは初めて聞くことでした。
なんかの間違いじゃないか、と思いました。
「羊水が少ないから、胎児に十分な栄養がいかず、発育が遅れていると思います。・・・これまでにも言われたことはありますか」
「・・・いえ、ありませんでした。ここに来たのは、クリニックで赤ちゃんが小さめだと言われて・・・」
先生の沈黙と口を開いた時の言葉が恐ろしく、こども病院を受診することになったこれまでの経緯を、一気にまくしたてて説明しました。
私の心は激しく動揺していました
先生は私の言葉を聞いているのかいないのか、相槌をうつことも、私の顔を見ることもなく、ただ黙ってじっとパソコンの画面を見つめていました。

せんせい、、きいてる・・・?

不安が押し寄せる中、私は必至で話し続けました。

私の声は、シャボン玉のように浮かんでは消え浮かんでは消え、白い部屋に溶けていきました。

ついに言うことがなくなっても、先生は黙ったままでした。

しばらくして
「CAOSって言われたことは?」

初めて聞く言葉があまりに唐突で、頭の中が真っ白になりました。
なんて言った?私に聞いた?それとも先生の後ろにいる看護師さん・・?
でも誰も返事しない。からやっぱり私に聞いた?・・・

・・・「ありません。」

出た声はあまりにも小さく頼りありませんでした。

「CAOSだと思います。胎児が小さく、羊水が減っている。慢性胎盤剥離羊水過少症候群です。」

聞いたこともない難しい言葉に圧倒されて、ただ座っていることがやっとでした。

「入院してないとおかしい状態です。即入院したほうがいいと思います。

・・・「即っていうのは、今日からってことですか」

入院することになるとは、全く予期していませんでしたし、先生の言う言葉はいちいち私をすり抜けて、理解ができなかった。

「はい。今からでも。」

・・・

「上の子が幼稚園に行っているし、主人が出張中なので」

混乱していた私は、自分の状況確認し、段取りを整理したくて声に出してつぶやきました。すると間髪入れず、

「難しいなら結構です。入院を勧めても拒否される方もいる。医師として、即入院した方がよいと言っています。」と低い声で言われました。

つぶやきを遮られ、自分の気持ちを吐露することを拒まれたように感じました。荷物どうしようかな、、息子の迎え、晩御飯、、、あれこれ考えていると

「入院すれば、赤ちゃんは元気に生まれるんですか」
同席してくれていた義母が、たまりかねたように口を開きました。

「可能性は高くありません。」

!!!

・・・

「というのは?」

畳みかける義母。

「難しい状況です。」

先生は後ろの棚から分厚い本を取り出してくると、「CAOSで出産した妊婦の記録がここに3ケース載っています。」と言ってドンと私たちの前に置き、1ケースずつ抜粋しながら読み上げていきました。

無事に出産に至ったケースは1ケースのみ、それも早産でかなり小さく産まれたと。勉強熱心な学生に教示するかのように、まるで私がそこにいることを忘れてしまったかのように。

私は氷にでもなったようでした。先生が先ほど言った言葉に打ちのめされて、身体も心も硬直していました

・・・「生まれても障害があったりするんでしょうか」

義母は戸惑いが隠せないように、前のめりになって、矢継ぎ早に先生に質問しました。

先生が口を開こうとした時、私は目の前真が真っ暗になり、ぐにゃりと胃がねじりあげられ、吐き気とめまいで突っ伏しました。

近くにいた看護師さんが、駆け寄って肩に手をかけてくれました。

「ちょっと休みましょうか」

ベッドに横にならせてくれました。

限界でした。

・・・「荷物とかなんとかなるなら、このまま入院されますか」

義母は心配した様子で傍にいてくれました。

「迎えとか、色々お願いできますか。」

「大丈夫よ。協力するから、このまま入院した方がいいよ」

「ありがとうございます・・・」

気力もなくなっていたので、義母の優しさに甘えました。

ストレッチャーに横になったまま、先生の横を無言で素通りしました。先生はこちらに目もやらず、声掛けもありませんでした。

頭の中は真っ白、いえ、混乱を通り越したものが充満していました



これまでの妊娠の経過についてはマガジンをご覧ください。

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