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かぎりなくゼロに近い命

この世はそもそもゼロから生まれたのだ
不思議な力でゼロが爆発してこれが生まれたのだ

生まれた素粒子たちが集まって星になり
生まれた星たちが爆発して新たな素粒子を生み

星たちの命の繰り返しがやがてぼくらの
太陽と地球と月とを生んだのだ

気の遠くなるような時が流れて
大地は冷えてゆき

気の狂うほどの時の流れの末に
海が生まれた

ここまで来てしまえばぼくらが生まれるまでには
あともう一息と言いたいところだが

ぼくらのほんの一瞬しか続かない命からすれば
ぼくらはまだまだ生まれることができない

海にはじめての命が生まれるまでにあとどれだけ
その命がやがて陸に上がるまでにさらにどれだけ

それをきみが信じようが信じまいが
そうした莫大な時が流れ流れて流れたすえに

ついに生まれることになるのだ
ぼくら世界を映す意識を持つものたちが

無限に広がる大宇宙の片隅に
ゼロから生まれた大宇宙の裏路地に

みゃあみゃあと泣く子猫のようなぼくたちが
ついに生まれ落ちるのだ

ゼロのなれの果ての暗い宇宙のどことも知れぬ星の上で
ぼくらは濡れそぼちながらもついにその二本の足で立ち上がる

かぎりなくゼロに近い命たちが
かぎりなくゼロに近い宇宙をつかもうと

暗闇の中その二本の手を伸ばして
声にならぬ叫びを響かせながら

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