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“KANJI”への想い②

12月26日
街はクリスマスからお正月へ
欧米感から日本感へ変わる日
あまりの切り替えの速さに
毎年ついていけない松迫です。

私は昨日までの3日間
KANJIにてクリスマスコースなるものを
提供しておりました。
お陰様で連日ご予約にて満員御礼!
小さい店が故に受け入れられなかったお客様
総勢100名を超えてしまいまして
申し訳なさと有り難さで胸がいっぱいでした。

さて、今回は前回の続き
22年前に他界した"父完ニ(カンジ)"と
小さなダイニングバー"お酒と果実KANJI"の
お話をさせて頂きたいと思います。

こんな人もいるんだ程度で
お付き合い頂けると幸いです。


父の死

2000年12月20日午後

昼休みを終え、清掃の時間
カーペンターズの流れる教室を
クラスメイトと掃除をしていた時
私は担任の先生から呼び出されます。

「松迫くん。今日はもう早退しなさい。
親戚の方がお迎えに来るそうだから。」

言われるがままに荷物をまとめ
何も聞かされず叔父の車に乗り込みました。
車内はこれでもかという沈黙。
いつも気さくな叔父が
私の質問に答えてくれません。

でもなんとなく向かう先は分かります。
毎週末通っている
市内の大きな病院への道だから。
父の元に向かっているんだ。

父が元気になったから
みんなで迎えに行くのかな!!


病院に着くと
母も兄達も親戚も集まっていました。
程なく私は兄に
控え室なる畳の部屋へ
連れて行かれます。

兄は静かに「座れ」と正座
剣道部の私も綺麗な正座をしてみせます

「   お父さんが亡くなった   」
            え?なくなるって何?

「   お父さん、死んだ   」
            しんだって何?

「   お父さんとはもう会えない  」

必死で涙を堪え遠くを見つめる兄
兄の膝の間に頭を埋め
大きな声を上げて泣くことしか出来ない私

「今のうちにいっぱい泣け。
 男なんだからみんなの前で泣いたらダメだ。
 お母さんが一番辛いんだから。」

どれだけの時間が流れたのか
涙が止まらない
言葉が出ない
ただ泣く事しか出来ない
また遊ぶって約束していたのに
優しく逞しい父に会えない?

母に連れられ
冷たくなった父に会いに行きます。

この前会った時と姿は何にも変わらないのに
話しかけてもぴくりともしません。
これが人が死ぬって事のようだ。

見えてる景色は変わらないし
街はいつも通りに動いているのに
父の時間は止まってしまったんだ。
これが人が死ぬって事のようだ。

父は43年で人生の幕を閉じました。


そこから通夜葬儀
父が灰になり
お寺に入るまでの目まぐるしいこと。

まだ新しい自宅へ
黒い服の人達がひっきりなしに訪れます。
みんな母や私たち兄弟に
とても嬉しい言葉をかけてくれます。
私たちの見ることの出来なかった父の姿を
教えてくれた方もいました。

酒に弱くいつも飲み会は寝ていた事
(これは私に遺伝した)
家族に隠れてタバコを吸っていた事
(どおりでいつもガム噛んでいた訳だ)
いつも優しく誰からも信頼されていた事
父の悪口を言う人を聞いたことがないという事

私の知らない人ばかり訪れていて
父はたくさんの人と良好に繋がり
大切に愛されて生きていたんだと思います。

私もこんな父のよう
沢山の人に信頼されて行きたいなと。
沢山の人に見送られながら
自分の死を迎えたいたいなと。

最期まで誇らしい姿を
私たち家族に示してくれた父でした。


父が他界したのは
私が11歳の時でしたので
父が過ごした人生や
考えていた事悩んでいた事
そんな深い話を聞く機会はありませんでした。
そもそも寡黙で忙しい人でしたので。

でも一つだけ父について
覚えていたことがあります。

父が他界する3年ほど前に
父が転職の相談を母にしていた事です。

「学校事務やめて
100均の経営をしようと思ってる」

父は母にそう持ちかけていました。

商学部出身の父は
当時の100均ブームのうまい話を持ちかけられ
商売人魂に火がついたのでしょう!

しかし、家庭内のヒエラルキーは
完全に母が上。
寡黙な父は相当な覚悟を持って
持ち掛けた話だったと思いますが

「無理無理!子ども3人もいるし」

母に2秒で一蹴され
この会話は終了。。。
父の燃え盛る商売人魂は
見るも無惨に灰となりました。
母は偉大、、、

しかし父は彼なりのチャレンジをしたかった。
息子3人に夢を見せたかった。
それまでとは違う人生を選びたかった。
父なりの強い覚悟
父の人生に触れた様な気がしました。


「人は2度死ぬ」
有名な漫画で誰かが言ってました。

「命を落とした時と、人に忘れられた時だ」

2020年私は飲食店を開業しました。
父の選びたかった道へ
想いのバトンを受け継ぐ為に
父を忘れず
2度目の死を迎えさせないために

KANJI

という店名にしました。


長くなってしまいました。
今日はこの辺で。
拙い文章にお付き合い頂き
本当にありがとうございます!

また続きを書こうと思います。
よかったらお付き合いください(^^)

それでは皆様良いお年をお迎えください♪
(今年はもう書かない宣言w)

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