1970年代におけるアメリカのある地方の部活動手当決定プロセスの解題

1977年 ワシントン州ロングビュー地方 公立学校部活動サラリースケジュールプロセスに着目して

解題論文
https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/019263657706140603



1977年にアメリカのある公立の学区において、合理的なサラリースケジュールが作成された。ポイントを採用し、そのポイントの合算により賃金を決定するという当時としては画期的とも思える手法である。数値化が難しい事案であることは認めつつも、かなり詳細に検討されている印象を受ける。

 その手法のキーワードは 大事な核の決定、数値化、中立委員会、不平等感の払拭だ。

まず柱となる核を決定した。そしてその次にその柱に階層を設定、その階層に順位を振り、それに具体的な数値を割り当てる。そしてその合計が給料総額となるということだ。
ただし、数値化が困難な事例においては、中立委員会が裁定権を持つとしている。

では、  1ポイントに対応する金額はどのように弾き出したのであろうか?
現行のフットボールの監督がこのプランにおいての総合ポイント35を総支給額で割り算をしてはじき出された金額約40ドルを単位とした。これも非常に合理的だ、なぜかといえば運動部活動の中では高額と思える監督のそれを対象とすることにより、不平等感が拭えるからだ。

歴史的なこの文書は、日本の部活動における教師への賃金配分を考える上での一つの試金石になると思われる。

以下が筆者が素描したこのプランの内容である。

【課外活動を監督する教師にいくら支払えば適正なのか、特にスポーツ活動においてだが、その回答を導き出すのは非常に困難である。

最近連邦規則が、女子スポーツコーチやその他の活動においての手当に関して見直し、平等配分を命じたことにより、この問題は脚光を浴びた。

なぜある特定の賃金配分が疑問視されるのであろうか?

それはその競技の開催日程、参加人数、その他の要因が男女においてしばしば異なるからであり、単純にその競技が似ているからという単純な理由だけでは、物事の根本的な解決にはならないであろう。

今回、合理的な課外活動に関する教師への賃金プランを作成した。
多種多様な課外活動に差異を認識し、その上での平等配分を実現することに成功した。
長い間の、時として熱を帯びた議論の末、8つの賃金決定の核を決定した。
具体的には、8つの核にはそれぞれ等級によりポイントが存在し、その1ポイントに対応する固定の金額が設定されており、最終的には加算した総合ポイントにより、その教師への総支給額が決定されるものである。

8つの核とは

1,契約時間を過ぎて何時間課外活動に従事したのか?

2,何人の生徒を指導監督したのか?

例外規定
運動部活動以外の活動
大規模人数活動の監督、pep clubなど

3、メディア露出の高さや社会からの期待に応えられたか?

このポイントに関しては、主観的であるので、中立委員会が判定を下す。そこには、観客の多さであるとか、メディアの注目度合い、PR活動など、これらはすべて教師個人にのしかかるものであるが、それを考慮する。


4、準備に要する時間

5、用具や資料の事前準備行為が必要か、否か

6、その活動に割当てられた教師の数

7,その活動を指導し、まとめ上げる能力

8,活動遠征手当 】


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