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繰り返し消費してやっと気がつくような「深み」があるものはすごい

RCサクセションの雨あがりの夜空に(歌詞)や、スピッツのスパイダー(歌詞)、The PoliceのEvery Breath You Take(歌詞)など、の不出世の名曲には共通する特徴がある。それは、一聴した時の爽やかな印象に対して、繰り返し聴いた後にだんだんと気がつく、別の意味が存在することである。

うちの家庭では、時々「いい卵」を買う。当然美味しいわけなんだけど、卵焼きやオムライス、TKGやすき焼きなどで食べているうちに、ある時「あれ、こんな表情するのおぬし?」と、それまで気が付かなかった風味に気がつくことがある。

そういう深さ、もしくは二面性があると話はとても盛り上がる。自分だけが知っている本当の姿を人に話すというのは、とても楽しいし、どこか、自尊心が満たされていくような感覚がある。同時に、本当の姿を人から聞くというのもとても楽しい。「あのラーメン屋は実は...」なんて話をされてしまったら、絶対行く。

話は変わるけれど、僕はコミュニティの仕事をしている。そしてコミュニティの仕事とは突き詰めると、そういった「実は...」を作り出すことなのだろうと思っている。

以前のnoteで、「コミュニティ」とは「会話のあるユーザーの集まり」のことだと僕は思うと書いたことがある。コミュニティの「仕事」とは、コミュニティでどんな会話が行われるのかを知り、そこから「実は...」に、会話をつなげていくことなのではないかと思う。

楠木建さんは戦略の本質を「違いをつくって、つなげる」ことだと書いている。とてもいい表現なので、パクる。

コミュニティの仕事とは、第一に「違いをつくる」こと。競合商品に対しての「違い」としての「実は...」を考えること。第二に「つなげる」こと。自社商品の第一印象と「実は...」が実はつながっていることをユーザーに伝えること。そうすると、コミュニティに"盛り上がる"会話が生まれる。これがコミュニティの仕事...なのかもしれない。

スピッツは一見、爽やかで、きれいなメロディの、王道・売れ線のJ-POPなイメージがあるじゃん?でも実はエロに関する歌詞ばっかりだし、多くのミュージシャンに尊敬されてる骨太のロックバンドなんだよ。

というのが、判を押したようなスピッツ評なのだけれど、スピッツは「違い」のギャップの大きさと、「つながり」の骨太さが群を抜いていて、「そりゃ生き残るわ」という感じがする。自分が関わった商品やコミュニティにおいて、これぐらい強いストーリーを残せたらいいなぁと思う。

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