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登山を舞台に人と自然、人と人、今と未来をつなぐ
今日興味をひかれた話。
登山に関する情報発信と共有アプリYAMAP代表の春山慶彦さんのインタビュー記事から。
自然とのつながりと身体性の喪失
YAMAP開発の動機は、人々を山へ誘い自然とのつながりを体験できる機会を広げたいという気持ちから。そこには、今の都市住民が自然から離れ身体性を失ってしまっているという違和感、危機感があったと言います。
“人間の身体は地球を歩き、大地に根ざして生きるために進化してきました。ところが都市化が進み、都市住民の多くが自然から離れて身体性を失い、頭ばかりで世界を捉えるようになってしまった。エネルギーや食糧など、都市生活の豊かさは地方や地方の自然に支えられています。自然があってこそ都市は成り立っている。その実体験と感覚が、僕たち都市住民にあまりにも少ない”
情報共有が作り出す集合知
"情報をユーザーが発信し、ユーザー同士で共有することができます。共有することで登山の安全と楽しみが増し、地図の精度も上がっていきます。いわゆる集合知です。 血縁や地縁が希薄になる社会で、趣味や価値観を同じくする人が集まったコミュニティーは、一つのセーフティーネット、社会インフラになり得る"
みんなで情報や経験を共有することは、単に知識や情報の精度を上げるだけではなく、社会におけるつながっている感覚、そしてそこから派生する安全と安心を作り出すことができますよね。
腐る価値を循環させる
YAMAPでは投稿を評価する「いいね」を廃止し、その代わりに感謝や応援の気持ちを贈るポイントシステム(DOMO)を作りました。このポイントは、「いいね」のような承認欲求に応えることで他者の行動を褒めるのではなく、他のユーザーに対する「ありがとう」「頑張って」の気持ちを贈るもので、ユーザー同士で送り合ったり、山の保全活動の応援などに活用できます。これが実によく考えられている仕組みで、すごく参考になりました。
個人の承認欲求を満たす「いいね」ではその報酬は個人で止まってしまいますし、その先何も生み出しません。しかし、感謝や応援は次々と他の人に贈られ循環します。僕自身、感謝の循環で結ばれるコミュニティーというのが作れないものだろうかと考えたことがあるので、大変共感しました。
このポイントのさらに秀逸なのは、有効期限がある「腐る」ポイントであるところです。
"自然界で腐らないものはありません。なのに、お金だけは腐らない設計になっている。腐らないから、使ったり送ったりするよりためることに重きが置かれてしまう。マネー資本主義が強くなっているのは、お金が腐らないからだと感じています。DOMOは有効期限が短いからこそ、送ることや活用することが主眼になります。SNSでたびたび起きているネガティブな感情ではなく、利他的な行動や共感、感謝、応援といったポジティブな感情をヤマップの中で循環させたいのです。"
腐らないお金はため込むことに重きがおかれがちであるのに対して、腐るポイントは有効期限が短いからこそ、送ったり活用したりすることが主眼となる、というのは非常におもしろいです。
未来の幸せを作るような楽しみ方
"山を舞台に、100年以上続く美しい風景をつくっていくことが僕たちの次の目標です。人類が幸せに生きることと、環境が豊かになることをつなげる仕事をしていきたい。そして、より多くの人に山や森に関心を持ってもらいたい。山で遊ぶことと山が豊かになることをつなげたい"
自分たちが楽しんでやることが未来の人たちに喜びをもたらすような、そんな楽しみ方ができるような工夫ができたら、すばらしいですね。そのためには、消費よりも創造に喜びを感じる社会になるといいなあ、と。
おもしろいポイントがたくさん詰まった記事でした。
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