見出し画像

第2回東大本番レベル模試 国語所感

第一問 

総評:易

どうまとめて良いか悩むような近年の東大で見られるような出題はありませんでしたが、細かいところまで気を配ってまとめきれたかが一つ差を生むポイントになったと思います。どの問題も解答の方向性はすぐに定まるはずなので、そこを大きく外した問題が一問でもあった人は力を入れて復習しておいてください。

(一):易

第1段落冒頭からのテーマの貫通を見抜いて、第1〜第4段落の内容要約をするだけの簡単な問題です。定石どおり、傍線部をしっかり分析して「実体をもたない」と「記号」の説明をする形で解答を作っていくと良いでしょう。傍線部は貨幣という存在の性質に言及しているので、「商品と交換されるために」や「交換の量を一気に促進させるために」といった貨幣の存在理由に言及するような内容は不要であることには若干の注意が必要です。

(二):やや易

基本的には「悪貨が良貨を駆逐する」をネットの言葉(=「身体性を失った言葉」)と貨幣の類比から前者の場合について説明する問題で、その内容に関しては第6段落を要約すればOKです。そして、第6段落の「何だかひどいことになっている」と第7段落の「使い方を誤れ」が同内容だと考えて「悪貨が良貨を駆逐する」結果として「人を破滅させる」というところまでおさえられると良いでしょう。

(三):やや易

直後を見れば、まとめの部分は「どんなものとも交換可能な万能性」とすれば良いことがわかります。そしてその万能性は「商品市場」においてのみ成立するものであることにも必ず言及が必要です。ただ、この2点を述べるだけではやや字数が余ると思いますので、万能性の根拠にも触れるとちょうどよく解答がまとめられるでしょう。

(四):やや易

直前を見ればこの問いの答えは「そういうことが、身に染みてわかったから。」とすれば良いとわかるので、あとは「そういうこと」の内容を考えていけば良いです。「そういうこと」とは第9段落以降で述べられているような、ネットの言葉の万能性やそれが持つ力がちょっとしたことで無力化してしまうというような内容で、それは直前の2段落に集約されています。この2段落の内容を「本文全体の趣旨を踏まえて」という指示通りに貨幣との類比をおさえながらまとめれば大体OKです。あとはそれぞれどういう価値がおかれているのか、どのような条件では万能なのかと言った内容を付け加えるとまとまりのいい解答が作れるでしょう。

(五):易

東大の漢字は日常的に使うものしか出題されませんから、是非とも満点を取りたいところです。

第二問

総評:やや難

源氏物語の影響を大きく受けた狭衣物語ということで、途中で混乱して登場人物が錯綜しているように感じた方もいたかもしれません。落ち着いて一文ずつ主語を明らかにしながら読み、リード文と注釈から得られるヒントを存分に使って解釈を進めましょう。

設問一:やや難

傍線部イ:「え~ず」は基本。ポイントは「うつし心」=「正気」でしょう。知らなかったとしても「歩くことができない」の文脈から「現し心」と書くと推測できたいところです。これを機に覚えましょう。
傍線部ウ:主語の見極めと品詞分解、敬語・助詞の分析を丁寧に行いましょう。但し、それが正しくできたとしても「ためらふ」に「心を静める」の意味があることを知らなければ満点はやってこない問題になっています。
傍線部オ:基本に忠実に逐語訳しましょう。後は注釈から得たヒントや傍線部直前の表現から、「伝えはべりける」が受け身的に現代語訳されなければ意味が通らなくなってしまうことに気付けたかどうかがポイントです。

設問二:標準

「大臣が中将を心配している」状況を把握して傍線部を現代語訳してみると自ずと答えは見えてくるでしょう。

設問三:やや難

品詞分解・逐語訳は基本事項です。ポイントは「才」の意味を正しくとれたかどうかでしょう。注釈に引っ張られて「音楽の才能」ととらえてしまった方もいたかもしれません。古文での「才」は一般に「漢字の才能」を指すことを覚えておきましょう。

設問四:標準

反実仮想の表現、謙譲の「たまふ」は基本事項です。あやふやな人は確認しておきましょう。後は「むなしき跡」=「中将が昇天」と捉えられたらこの問題はクリアでしょう。

設問五:やや難

「いみじ」「ゆゆし」「いまいまし」「かなし」の意味をうろ覚えでいた人にとって厳しい問題だったでしょう。この問いを完答するには文章全体の解釈が正しくできている必要があると言えます。本文を読み違えていた方は解説を熟読しましょう。

第三問

総評:やや易

ここ数年の東大の流れをくみ、論理的な文章が出題されました。多めの注釈が役に立つでしょうし、論理の内容も素直に読めばすっと入ってくるようなものだと思われます。この題材を用いて漢文の基礎知識を再確認しておきましょう。

設問一:やや易

傍線部b:「面」=「顔」、「形」=「現れる」という意味で取れたかどうかがポイントです。傍線部直前との対句に気付き、意味を類推しましょう。
傍線部c:返り点に従い逐語訳すると「過ちを聞くのを恥じる」となります。最後の部分を「~すると」のようにすれば、後への続き方が自然になります。
傍線部e:「舎」を「捨」ととれたかどうかがポイントです。あとは返り点に従い逐語訳しましょう。

設問二:やや易

そのまま素直に直訳するだけでもある程度の点は見込めるでしょう。時間に余裕があれば傍線部とその直後が対句になっていることを意識しつつ表現を磨きましょう。

設問三:標準

まずは返り点に従い落ち着いて読みましょう。すると大きなポイントは「欲」「雖」「得→可→乎」の三つだと気づくはずです。どれも基本事項なので拾いきりたいところです。

設問四:標準

傍線部が何を言っているのか、本文全体の趣旨が何なのかの二点を記述したい…と考えていると、傍線部直前の「是」を言い換えたらそれは本文の趣旨となり、そのうえで傍線を含む一文を訳せば題意に適うことに気付くでしょう。あとは丁寧にその作業をしましょう。

第四問

総評:やや易~標準

第四問にしては、比較的解きやすい問題が多かったです。(一)(二)(四)は傍線部周辺の論理を整理し、傍線部の意味内容を忠実に言い換えれば解答にたどり着けるため、この時期の受験生にはぜひとも得点源にしてほしい、実力の試される問題です。(三)は本文のかなり広い部分からの要素拾いが求められる難しめの問題でしたが、受験期までには食らいつけるようになってほしいと思います。

(一):やや易

傍線部アの行為と筆者の主張とが対比されていることに気が付きたいです。そうすれば、第3段落と第4段落の内容が両者に分けられるから、筆者が批判する傍線部アの行為に該当する部分だけをまとめれば、解答にたどり着けるでしょう。

(二):やや易

傍線部イを「結果として」「そうなった」に分け、何の結果としてどうなったのか、それぞれ言い換えればよい問題です。ただし、傍線部の引かれている位置からわかるように、結果をもたらした原因ばかりを書いてはならず、結果に重点をおいた解答となるようにしなければならないというのは、解説にも書いてあるとおりです。このように、文の一部に傍線が引かれているときは、文構造のうちのどこまでを言い換えて、どこを抜かしてもよいのかを最初に熟考する必要があります。

(三):難

「問題」の中身が広く本文最終段落まで書かれていることから要素拾いが困難であり、この時期の受験生には難しく感じられたでしょう。

(四):標準

傍線部エの「自由だったり奔放だったりしていない」の部分が否定文で書かれているから、肯定文にするならどのように書けるかということをまず考えた後、傍線部エと同じ段落中の内容を、論理を整理してまとめれば、順当に解答にたどり着けるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?