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461個のおべんとう part.1


2011年から高校生の息子に3年間作ったお弁当の物語が、2014年に『461個の弁当は、 親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス)。として刊行されました。僕が想像した以上に反響が大きく2015年にNHK BSプレミアムで「461個のありがとう。〜愛情弁当が育んだ父と子の絆〜」というドラマになりました。そして、漫画家・荒井ママレさんによって小学館の青年漫画雑誌『ヒバナ』で2015年4月号から2016年2月号まで連載漫画になり、単行本化されました。今年の5月には原作に追加文を加えた形で文庫版(マガジンハウス文庫)も刊行されて、そして更に「461個のおべんとう」としてV6の井ノ原快彦さんとなにわ男子/関西ジャニーズJr.の道枝駿佑さんが親子役の映画が11月に公開される事になりました。今回はこの映画についてお話しをしたいと思います。
2011年3月11日東日本大震災から僕の人生が一変しました。福島県富岡町に住んでいた両親と姉2人(もう一人の姉は茨城県・守谷に在住)の家族は、余儀無く故郷を去る事になり、静かで穏やかな日常を失いました。僕も同じく帰る実家(全壊したので解体して今は更地)を失いました。2010年の年末に離婚をして息子・登生との2人の新しい生活が始まったのが震災の翌日12日からでした。福島から避難して来た甥と姪を預かりました。神も仏もいない、お先真っ暗な日々でしたが、息子と甥っ子達と食事をしながら会話するのが唯一の楽しみでした。
4月に入って甥っ子達は姉の避難先(守谷在住の姉の家)に行ってしまいました。本格的な息子との新生活、そして、一年遅れての高校生活が始まりました。入学式を終えてから息子に聞きました。「明日からのお昼、どうする?ワンコインかパパのお弁当、どっちがイイ?」。「パパのお弁当がイイ」と言われました。「じゃぁ、パパもちゃんとお弁当作るから、登生もちゃんと学校行くんだよ」。「うん!」。親父と息子の男の約束が始まりました。
お弁当作りは僕の日課になり、食材はもちろん、お弁当周りの小物を探したり、レシピの本を色々読んだり、調べたりする事が楽しくて楽しくてハマって完全に趣味になってました。最初は息子の大好きそうなメニューを作ってましたが途中から僕の好きなメニューを作って「美味しいてしょ?」と、プレゼン的なお弁当になって行きました。
堅っ苦しい「男の約束」は、作る喜びと食べる喜びが芽生えて、お互いの気持ちを尊重しあう、ただの「お約束」に変化しました。  
今振り返ってみると思うのは、なぜ3年間お弁当を作り続けられたのか?と、、。僕がお弁当作りにハマり、ライブの現場などでお客さんからのお褒めの言葉、そしてTwitterなどのフォロワーからの応援メッセージなども励みになり、楽しんで作れたのも理由なのは間違いないと思いますが、やっぱりそのお弁当を残さずちゃんと食べてくれた息子のおかげでもあります。
お弁当を毎日作る事が出来た理由はまだあります。一つは僕自身、やると決めたならやる!と、言う性格もあります。作る時間は40分以内、予算は300円、おかずは材料から作るというルールを自分で決めました。ゲーム感覚で出来る様にして、達成感を感じクリアする事に満足感を得ました。そして一番の理由は単純に息子を守りたいという想いがあったからだと思います。
先月、群馬県水上町で行われたNew (Lifestyle) Acoustic Camp 2020 に息子と一緒に出演しました。息子は今バイトをしながら「ぎぎぎのでにろう」と言う名義で音楽活動をしてます。ステージのライブも終始リラックスして聴いてくださったお客さんのおかげで楽しく出来ました。そして、行き帰りの車の中でのお笑い芸人、プロレス、電気グルーヴ、ヒプノシスマイク、そして映画「461個のおべんとう」の話などの息子との会話はとても貴重でした。「映画でパパはどのシーンが良かった?」と息子に聞かれました。僕は「息子にキレられて怒られるシーンかな、、。なんかショックだったなぁー」と言ったら「何、反省してるの?」と笑っていました。その後の会話で、赤ちゃんの時から3歳くらいまでベビーシッターを雇い、仕事を優先にしていて、息子に対して自分があまり手をかけなかった事や、現場に無理矢理連れて行って寂しい思いをさせてた事に反省して息子に謝りました。都内に戻り、ラーメンを食べている時に「パパは一般的には決して良いパパではないけれど、僕にはとっては最高のパパだよ」と慰められました。額に飾っておきたいくらいの言葉でした。また、息子に救われました。
さて、映画「461個のおべんとう」の話をしましょう。最初に映画化の話が来た時はとても驚きました(2018年末)。本を出してから4年以上も経っているのにマジか?と、思いました。更にキャスティングの俳優さん達の顔ぶれにもビックリしました。僕が、イノッチ⁉️、、なんか嬉しい!そして道枝くん、、かわいい!そして大好きな映画監督・兼重さん。「お願いします」と、迷わずに言いました。直ぐに、息子と一緒に台本に向けての取材を受けたりしました。スタッフの方々があまりにも僕と息子が仲が良いのでビックリされてました。暫く連絡がなかったので映画化はなくなってしまったかなと思いましたが2019年春に返事があり映画化決定しました。
僕役の井ノ原さんとの初顔合わせは、井ノ原さんの舞台の終演後の楽屋でした。兼重監督も一緒でした。世間話をしたり、お互い共通する知人の話等、用意されたビールの缶がなくなるまで話しました。帰りの電車の中で「楽しみだなぁ〜映画」、「イノッチで良かったなぁ〜」と心の中で何度も思いました。
撮影が始まりました。撮影場所の鎌倉へ妻と子供達と挨拶に行きました。舞台となる家の部屋には撮影用の照明やカメラを見た時、もう始まってるんだな〜と思った瞬間でした。そして、上機嫌の兼重監督が前日の収録画像を見せてくれたので、ワクワクが止まりませんでした。
映画に登場するバンド「Ten 4 The Suns 」の演奏のシーンに立ち合いました。バンドのメンバーは井ノ原さんとKREVAくん、そしてやついくんです。演奏シーンはもちろんバッチリでしたが、まるで小学校からの同級生が久しぶりに集まって話してる様な息の合ったトークバトルは最高でした。カメラを回している演奏シーンの時間より、次のカメラや照明の機材のセッティングの為に待っている時間の方が長いエキストラの皆さんを飽きさせない様に、この3人が次々と繰り広げる笑いのトークバトルに僕自身いつの間にか引き込まれいきました。そして、エキストラさんも一緒で、架空のバンドなのに真のファンになって行く様を見て凄く感動しました。そして、打ち合わせもなく一瞬で自分達の役割を感じファンサービスを1番に考えた3人にあらためて、プロフェッショナルを感じました。そして、それと同時にスタッフにファインプレー!ナイスキャスティング!と思いました
https://461obento.jp/



part.1は、ここまでとします。映画に対して沢山の想い、そして感謝はpart.2にします。
明日からの上映宜しくお願い致します!

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