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見えます、見えます。

派遣の仕事を始めて約1か月。

見えます、見えます、さまざまな関わり方が。

その中でも特に気になるのが『かかりつけ医と患者さん』との関わりのカタチだ。現在ワクチン接種に来場する方は、いわゆる「高齢者」に該当する方ばかり。どうしても忘れっぽくなったり、訳が分からないまま来ていたりする方もいる。受診時もさぞ大変だろうな、と推測ができる。先日、とうとう年齢が3ケタ(100歳)のおじいちゃんに遭遇した!

おじいちゃんが予診票確認の際、懐から大事そうに取り出して見せてくれたのが《ワクチン接種許可の用紙》。「先生に打ってもいいかを聞きに行ったら、これを書いてくれたんだ。俺のお守りだわ。何でもかんでもすぐに忘れてしまうで、これを持たせてくれたんだ。」と見せてくれた。

A5サイズの用紙には医院名、患者名、基礎疾患の有無、止血を妨げる内服の有無、ワクチン接種可の項目が並んでおり、まさに予診票質問項目の順序に即した内容になっている。これは、接種者の状況を把握するのに時間もかからず、明確でわかりやすい。優しい色味のイラストも入っていて、目にも優しく、医院の人柄が伝わってくるデザインだ。

見えます、見えます、かかりつけ医の人柄が。

サービスとは、誰かの何かを思って行動することだ。患者の名前に「様」をつけて呼ぶことばかりじゃない。自分の診ている患者たちが安心して接種できるよう、患者のためを思いながら作成した一枚の用紙は、おじいちゃんが先生からもらったお守り。一緒には来ていない先生の安心に包まれたおじいちゃんは一枚の用紙を誇らしげに見せてくれ、「ホントによ、いい先生なんだわ。」と教えてくれた。

そんな許可証を当日持参させてくれるかかりつけ医は、どれくらい存在するのか?地域医療として地元住民の健康に寄り添うかかりつけ医名を50以上は聞いてきた。しかし、用紙を持たせてくれた医院はこのひと月で、たったの3医院だけ。最初からこの3医院だけがやり始め、そこから他の医院が真似することもなく、今のところ増えることもない。不思議だ・・

私の後ろには医師の予診ブースがあり、そこには大抵2名の日替わり医師がいる。その先生たちもこの用紙を見ているはずだ。もちろん地元担当の医師ばかりである。他のかかりつけ医からの有益な情報提供のおかげで、自分たちも安心して許可のサインができ、接種までも速やかに進むことが認識できているのなら・・・ぜひとも真似して欲しい。そういうサービスが当たり前のレベルになって欲しい。他企業なら即刻パクるのに、何故真似しないのか不思議なこの業界。自分の患者は減らない、離れない、しのぎを削ることは起きないと思っているからかな。

見た目じゃ分からない中身というのは、何かの形で表現されて、人の目や心に触れて初めて分かるものだ。高齢者に関わることだからこそ、今回のように不安の残る中での接種だからこそ、思っているけれどやっていないことがあるのなら行動してみたらいいのに。すぐに真似できるなら、真似したらいいのに。今、集団接種会場に必要なのは、医院での本人に対する丁寧な説明よりも、会場全体が安心してうまく回るような情報提供の方法、これが大きいと実感している。

それがよりよさとか、今後も選ばれる理由につながっていくんだよね。

見えます、見えます、一枚の用紙から色んなものが(’-’*)♪