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NFLに次ぐ世界で2番目の規模を誇る"CFL"ってどんなリーグ?

プロのアメリカンフットボール選手として活動している佐藤と申します。
日本では社会人リーグxleagueの富士通フロンティアーズに所属しており、
最長FG(得点を決めるキック)の日本記録保持者です。
2020年から世界で2番目にレベルの高いカナダのCFLに歴史上初の日本人選手としてドラフトされToronto Argonautsに所属しています。
yahooの記事でも少しだけ取り上げられてます。
カナダのシーズン終了次第、日本のリーグに合流します。
ゆくゆくは世界最高峰リーグNFL初の日本人選手となるべく挑戦を続けてます。
本記事では僕が現在活動しているCFLリーグについて紹介したいと思います。

リーグ概要

歴史と規模

CFL(Canadian Football League)の前身となるリーグは1860年に設立されているようですが、正式にCFLとしてリーグが始まったのは1958年です。

日本での知名度は高くありませんがアメリカのプロリーグNFLに次いで世界で2番目にレベルの高いリーグだと言われており、カナダ国内でもアイスホッケーに次いで最も人気のあるスポーツとされています。レギュラーシーズン中は一試合平均約2万4000人ほどの観客動員があります。

毎年一定数はCFLからNFL選手を輩出しているので、ここで結果を残す事は間違いなく日本人初のNFL選手に繋がります。

所属するトロントのホームスタジアム"BMO Field"

所属チーム


所属チームはWest Division5チームとEast Division4チームに分かれており、以下のようになっています。

West Division
BC Lions/ブリティッシュコロンビア州
Calgary Stampeders/アルバータ州
Edmonton Elks/アルバータ州
Saskatchewan Roughriders/サスカチュワン州
Winnipeg Blue Bombers/マニトバ 州

East Division
Hamilton Tiger-Cats/オンタリオ州
Montreal Alouettes /ケベック州
Ottawa Redblacks/オンタリオ州
Toronto Argonauts /オンタリオ州 ←佐藤所属チーム

同じ州のチームが多いように見えますがカナダは広大な土地に13州しか無いので隣のチームのスタジアムに遠征に行くのも近くはありません。

6月から開幕するレギュラーシーズン18試合(主に同ディビジョンとの試合が多いが、他ディビジョンとの試合もある)の結果を元に6チームがプレーオフトーナメントに進み、11月の中旬に決勝戦の「Grey Cup」が行われます。今年の決勝戦はサスカチュワン州という昨年冬にマイナス40℃を記録した極寒の地で行われます。マイナス40℃の中でやるアメフトは正直ちょっと想像できません、、、。笑

僕の所属するアルゴノーツはリーグ最多優勝を誇る強豪で、昨年も東地区で優勝しましたが、プレーオフの準決勝で敗退してしまいました。

外国人選手枠は46人中2枠の狭き門

ほとんどがアメリカ人とカナダ人で構成されているリーグなので、それ以外のグローバル選手の枠は2枠しかありません。2022年シーズンのアクティブロースターと呼ばれる試合時にユニフォームを着て登録される選手は46人で以下が内訳です。

  • カナダ国籍選手21人

  • アメリカ国籍選手20人

  • 国籍問わないQB(エースポジション)2人

  • グローバルプレーヤー(アメリカ、カナダ以外の国籍の選手)2人

  • リザーブ選手1(ユニフォームは着ないが遠征に帯同)


やはりアメフトはアメリカ人のレベルが1番高く、NFLからカットされた選手がCFLに多く来て活躍しているのですが、カナダのリーグという事でカナダ人を最多数に設定したり、スターターも16人以上をカナダ人にしなくてはいけないというルールでカナダ人の雇用を保っています。

僕はこの中のグローバル枠なのですが、これは2020年から始まったCFL2.0というグローバルプログラムによって設けられた枠です。グローバルスカウトが世界各地で行われるテストの結果を元にめぼしい選手をカナダに招待して再度テストを行い、その結果を受けてドラフトが行われるという事です。人生でドラフトという経験は今までなかったので自分の名前を見た時は興奮しました!
また、日本人は僕を含む昨年ドラフトされた6人がリーグ歴史上初の日本人選手ということで光栄に思います。

2巡目全体16番指名


リーグ側は多様性の導入や文化交流を掲げていますが、1番の理由は国外での放映権による収益強化です。
現状日本では放映されていないのですが、僕を含めた日本人選手の活躍によって日本でCFLが放映されるようになって欲しいと思います。
現在はインターネットの配信で日本からも試合を見られますので、試合出場時にはnoteやsnsでご案内します。

北米で日本人が通用するのは難しいのではないかと言う声もありますが、そんなことは無いと思っています。特にキッカーはボディコンタクトがないので体のサイズなどに左右され辛く、技術やメンタルで勝負していけると確信しています。

カナダ特有のルールや特徴

CFLは日本やアメリカで行われているフットボールとは少しルールが違い「カナディアンフットボール」と呼ばれています。

フィールド

アメフトのフィールドよりも縦に30yd長く、横幅は10yd長くなっています。必然的に運動量が多く求められるのと、キッカーにとってはより飛距離とサイドに蹴り分ける正確性が求められます。

人数

フィールドが広い分人数もアメフトが11人に対してカナディアンは12人で行われます。

ルール

アメフトは4回の攻撃で10yd進むと再度攻撃権が与えられるのですが、カナディアンは3回で10yd進まなくてはなりません。
これはフィールドの広さによるディフェンスのディスアドバンテージをカバーするものと考えられます。
また、攻守交代の頻度が激しくなることにより、攻守の入れ替え時に出番が来るキッカーにとっては出場機会が増えることになります。

気候

先述にもあった通りカナダでは真冬に-40℃まで気温が下がる地域もあります。この真冬を避けるために11月にシーズンは終わりますがそれでも-10℃を下回ることもしばしばあり、更には風が強い事が多いのでパフォーマンスするには少しタフな状況です。
従って、技術だけではなくてこういった環境に対応する柔軟性とメンタリティが必要になってきます。
ゆくゆくはアメリカでプレーしたいと考えている僕にとっては、さまざまな気候に慣れることやより広いフィールドでもパフォーマンスできるようになる事は大きなステップアップと言えます。

僕がCFLでプレーする意義

上記のようなタフな環境で成長する為というのももちろんありますが、
NFLに最も近い環境だから

これが一番大きいです。実際にNFL経験者も沢山いて、NFLスカウトも目を向けているリーグです。

現在はチームメイトにリーグトップのキッカーがいてなかなか試合に出れない状況にありますが、そんな中でも彼から学ぶことを学びつつ、自分のパフォーマンスだけに集中していつか必ずくる機会を掴み取ってやろうと日々燃えています。
客観的に見てCFLで活躍できるだけのキッカーである自信があるので、ポジティブに努力を積み重ね続けていきます。

Focus on what you can control!

追記
そもそもアメフトがよくわからない!という方もたくさんいると思いますので、僕の日本で所属するチームが過去に出していた動画を是非参考にしてみてください!5分でまとまっていてわかりやすいかと思います↓↓↓
【5分で分かるアメフトルール】試合を見ながら選手が解説


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