#4 高配当株銘柄紹介「三菱HCキャピタル」
高配当銘柄を紹介するSECTIONになります.
ぶっちゃけ,「三菱HCキャピタル?聞いたことねーよ」という企業です.そんな三菱HCキャピタルは,高配当株投資界隈で知らない人はいません.今回千尋ちゃんがオーナーになった記念として,銘柄分析を行いたいと思います!
株価推移/株価指標概要
三菱HCキャピタルはプライム市場に上場する,時価総額1兆円超の超大型その他金融業です.先日の本決算で25期連続増配を発表し,大幅に株価が上昇しました.大型株&連続増配企業で配当利回り4.8%は驚異的,そしてこれだけ配当金を出しても配当性向40.8%!「え?余裕で株主還元できるけど?」なんて余裕が垣間見えます.価格も1株=1,000円以下と購入しやすい銘柄ですね.
三菱HCキャピタルってどんな企業?
■リース業について
三菱HCキャピタルはリース業を主なビジネスとする企業です.簡単にリース業について説明します.
IT企業のA社は新しいビジネスを始めるためにPC100台の新規導入を決定しました.成功すれば3,000万円の利益が見込めます.しかし,PCの購入には1,000万円が必要です.現時点でそんなお金はA社にはありません.PC100台の為に用意できる資金は300万円です.
そこで,A社はリース会社Bに「1年300万でPC100台貸して!5年契約するから!」と話を持ち掛けます.リース会社Bは3,000万円利益が見込めるビジネスを精査して,「なるほど,これならいける!」と判断します。B社はPC100台を用意し,A社に貸し出します.
A社は無事,PC100台用意でき,売り上げは加速度的に伸びました.5年間で1,500万円の経費が掛かりましたが,3,000万円利益が出たのでビジネスとしては成功です.リース会社Bも,1,000万円でPCを購入しましたが,5年で1,500万円儲けたので,500万円の利益が出ました.
A社のように,初期投資に大きなお金が掛けられない企業は沢山います.トータルでは割高でも,初期費用を低くして利益を出したい!そんなニーズに応える企業がリース業です.
■三菱HCキャピタルのビジネスモデル
カスタマーソルーションと海外地域で大半の利益を出しています.カスタマーソルーションとは,顧客の立場に立って問題解決を支援し、新しく需要を見込む製品を考えたり新しく販売戦略を作る事です.
企業はモノを借りることで課題解決を図り,利益を出します.三菱HCキャピタルは,リース業としてモノを貸すだけではなく,問題の抽出,課題の提案,最適なリソースの提供を行う,新しいリース業のビジネスモデルを確立させています.
また,三菱HCキャピタルは,旧三菱UFJリースと旧日立キャピタルが経営統合された企業です.統合されたことによる強みを活かし,幅広い事業を展開しています.
リース業の枠を超えた顧客中心のビジネスモデルと,幅広く分散された事業内容を持つ三菱HCキャピタルは,非常に優良な企業である印象を受けます.
ちなみに僕が働いている病院の放射線部門のディスプレイは三菱HCキャピタルからのリースでした!同僚に「あ!連続増配企業やん!」って言ったら「は?」って言われましたが笑
さて,ここからはデータで実績を見ていきましょう!
■業績/財務
堅調ですね.2021年と2022年で急激に売り上げや営業利益・総資産等が増えているのは,前述した経営統合が2021年に行われている為です.
リース業は景気敏感株です.リース業が売り上げを伸ばす時というのは,企業がビジネスを拡大することに意欲的な場合です.不景気になると,企業はビジネスの拡大に消極的になり,リースの新規契約を控える傾向にあります.業績推移を見ても,リーマンショック,コロナショックの際にはしっかり業績を落としていますね.しかし,その後は業績を立て直し,当期純利益も堅調に伸ばしています.当期純利益は配当の源泉ですので,高配当株投資家としては好感を持てる実績ですね.
財務に至っては,自己資本比率の低さが目を引きます.リース業は先行投資(モノを買う)を行い,リースを行う事で後から資金を回収するストック型ビジネスです.そのため,莫大な資産を持っていますが,同じくらい負債も抱えています.他のリース業大手を見ても,自己資本比率は10~20%ですので,とりわけ低い数字という印象は受けません.
また,貸借対照表に着目すると,流動負債(1年以内に返済が必要なお金)に対して,流動資産(現金・またはすぐに現金にできるお金)の方が大きいことが分かります.計算してみると流動比率は169%くらいでした.自己資本比率が低いため,財務的に不安定のように見えますが,短期的な財務に関しては問題ないと評価して妥当と考えます.
■株主還元
株主還元姿勢は冒頭で述べた通り,とても優秀な企業です.24期連続増配企業であり,2024年の1株配当は4円増配の37円になる見込みです.配当性向は40%程度であり,その気になれば更なる配当も期待できる余力を残しています.個人投資家説明会では配当性向を40%程度に維持すると説明しているので,増益が今後も続くようなら増配もあり得ますね!
■業績/財務/株主還元のまとめ
結論,投資適格企業です!ただし,以下の点には注意しましょう!
景気敏感株のため,不景気で業績低下を起こすリスクあり
業績不振の際にも配当を維持する場合は配当性向40%をオーバーシュートする必要がある
そこまでして増配するかは未知(連続増配にこだわりを持っている場合はあり得るかも)
連続増配はとてもうれしいですが,連続増配にこだわり財務が揺らぐ企業にならないよう,今後も注視が必要です(花王とかはそんな感じ)!
■買い時について
■まっつんならここで買う!
過去のデータに基づくとPER,PBRでは割高,配当利回りでは割安と出ました.これは2024年の増配を織り込んでいるためだと考えられます.「これからもっと稼ぐ!もっと増配するぞ!」という投資家心理が株価に反映され、PER,PBRが過大評価されているためだと考えられます.ただ、PERは業績に対する先行指標であり、今後業績を伸ばせばPERは低下して平均値くらいに落ち着くと思います.それにより資産が増加すればPBRも低下します.これらを鑑みると,必ずしも割高とは言えないようにも思います.
仮に,PERによる買い推奨で配当利回りを計算すると,配当利回り5.2%ですよ.コロナショックの時の配当利回りに匹敵します.702円まで下がるのを待つのは機会損失になると僕なら考えます.ここからさらに株価が伸びる可能性も考えられますので,現在の株価でも購入は検討します.
無論,ピークアウトして下落することも考えられますので,下がった場合の買い場も考えておきます.
三菱HCCキャピタルは短期的にも長期的にも上昇ラインを形成しています.ここ最近のトレンドラインからは上に抜けている感じもしますので,下落するとしたら直近のトレンドラインを参考に買値を考えます.
年初来を基準として上昇ラインに青のラインを引いてみました.728円のポイントは7月1日です.もし6月に下落したら,このラインを意識して購入すると思います.ざっくり720-740円まで下がれば,買いと判断します.
■まとめ
リース業大手の三菱HCキャピタルを紹介しました.特徴を纏めます!
カスタマーソルーションと幅広く分散された業態に強みを持つビジネスモデル
業績は堅調,財務も業種を考慮するとそこまで悪くはない.投資適格ありと判断できる.
株主還元はスーパー良い!
PBR,PER的には割高だが,来期の増配を織り込んでいる可能性がある.配当利回り的にはむしろ割安
今購入しても良い.下落して買いたいなら720-740円くらいでエントリーしてみるといいかも.
以上になります.ここまで読んでくれてありがとうございます!
まっつん
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