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USDAのWASDE インドの小麦輸出制限措置の影響を供給試算に反映

6月10日に米農務省が月次の農産物需給試算(World Agricultural Supply and Demand Estimates:WASDE)を発表しました。

今回のWASDEでは、小麦供給の見込みについてインドによる輸出制限措置の影響が反映されています。それによると、2022-2023年度の世界の小麦生産量は10億5200万トンとなる見込みで、異常気象の影響を受けているインドでの減収が響き、供給量は前年度から若干減少する見込みです。ですが、需要量もほぼ同じだけ減少すると見込まれており、需給バランスへの影響は限定的になるとの見方が示されています。なお、需要量減少の背景としては、経済危機に陥っているスリランカなどでの需要減が挙げられています。

また、小麦の貿易量についてもインドによる輸出制限措置の影響で、前年度比で若干の減少が見込まれています。ただ、ロシアとウズベキスタンからの小麦輸出量がかなり伸びる見込みのため、貿易量の下げ幅は30万トンと軽微なものにとどまると推定されています。

今月発表のあったFAOの食品価格指数でもインドによる輸出制限措置が価格動向に大きな影響を与える要因として挙げられています。ウクライナからの穀物輸出動向には引き続き注意が必要ですが、異常気象の影響を受けているインドの動向にも並行して注意を払うことが必要そうです。

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