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ウクライナからの穀物輸出ルート確保に向けて、有志連合が黒海への海軍派遣を検討か

黒海からのウクライナ産穀物の輸出再開に向けて、トルコが仲介に動き始めたというニュースを昨日はお伝えしました。ですが、これとは別に、一部の国が黒海ルートの再開に向けて、黒海のウクライナ近海への海軍の派遣を検討しているというニュースが報じられ始めました。

通常であれば、輸出されるウクライナ産穀物の90%以上が通過する黒海沿岸の港を使った貿易ルートは、現在ロシアによる海上封鎖の影響で使用できない状態が続いています。この黒海ルートの代替策として、これまでは隣国のリトアニアなどを経由する陸路での輸出ルートの整備が急がれてきましたが、EUとウクライナで鉄道レールの軌幅が異なるなどの事情もあって、なかなか輸出量は回復していません。

そんななか、ウクライナでは来月から冬小麦の収穫が始まります。輸出量が回復しない=国内の在庫が積み上がった状態で小麦の収穫時期を迎えてしまうと、収穫した小麦を保管できるスペースがないという事態に陥ります。したがって、いよいよ小麦の収穫時期が迫る今、本格的に輸出量を回復させなくてはならない局面を迎えています。

そこで提案されたのが、有志各国がウクライナの黒海沿岸に海軍を派遣し、商用船舶の護衛を担うという案です。これは先月末に英のトラス外相と会談した、リトアニアのランズベルギス外相が提案したもので、同外相は特にロシア軍の支配下に入っていないオデーサからの輸出を支援したい考えを示しています。

この提案は人道目的での軍の派遣ではありますが、当然、ロシアを刺激する可能性もあります。ですが、トラス外相はこれについて前向きな回答をしており、オデーサ近海でのロシアが敷いた機雷の状況などを踏まえて英政府内で検討が進んでいるものとみられます。

また、この黒海への海軍派遣については、EUでも検討が進んでいると報じられており、現在、各加盟国に打診が行われている状況です。なお、ユーラクティブによると、EUはこの派遣の実施に向けて、国連とも調整を進めているとされています。

有志連合による海軍派遣という新たな局面の可能性が出てきた黒海封鎖の問題ですが、昨日お伝えしたトルコによる仲介の動きともあわせて動向を注視していきたいところです。


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