【法律編】株式会社以外に会社の種類って何がある?

「株式会社」はよく聞きますが、たまに「合同会社」とか「一般社団法人」とかありますよね。
今回は会社法に基づく会社の種類を解説していきます。

以下の図をご覧ください。

会社は「法人」なわけですが、それを会社の種類で分類していったものです。

まず、法人は「営利法人」と「非営利法人」に分かれます。
ものすごく簡単にいうと、この大きな違いは「収益活動をしてその利益を構成員(出資者:株主など)に分配する」かどうかです。
「分配する」というのが重要で、株を買って貰える配当金が一番わかりやすいです。
非営利法人は収益活動を行うこと自体は問題ありません。
ただ、そこで利益を上げても分配はできないのです。

ちなみに、会社法上「社員」というのはその会社に勤めている人たちのことではありません。
構成員のことを指しており、株主も会社法上「社員」に該当します。
一般的な感覚とは少し違うので、補足しておきます。

次に、営利法人を更に分解すると、「株式会社」と「持分会社」に分かれます。
この違いは、社員(株主など)と業務執行者が「別」なのか「一致」しているのかです。

株式会社はこれが「別」です。
例えば、トヨタの株主になってもトヨタ本社や工場に行って業務を執行しているわけではないということはイメージしやすいと思います。

持分会社はこれが「一致」しており、社員が業務執行権を持って経営に深く関与しているのです。
少し小規模な、家族経営の会社などがイメージしやすいかと思います。

また、社員の責任の重さなども違いますが、それは後述します。

次に、株式会社は「公開会社」と「非公開会社」に分かれます。

「非公開会社」というのは、発行する全ての株式が「譲渡制限株式」であるかどうかです。
「譲渡制限株式」というのは、株式を譲渡するときにその会社の承認を得なければいけないというものです。
発行する全ての株式が譲渡制限株式である場合、非公開会社に分類されます。

「公開会社」というのはそれ以外の会社です。
つまり、100株発行していて99株は譲渡制限株式だけど1株でもそうでなければ、その会社は「公開会社」に分類されます。
(なぜこの分類が重要かというと、会社がどれに分類されるかによって「監査役会」や「会計監査人」やらを設置しなければいけないとか色々規定があるのです。)

続いて、持分会社の分類です。
持分会社は「合名会社」「合資会社」「合同会社」に分かれます。
これは、社員の責任が違います。
「無限責任」か「有限責任」かという違いと、「直接責任」か「間接責任」かという違いがあります。

・無限責任:社員は会社の債務(借金など)に関し、無限に責任を負う。
・有限責任:社員は会社の債務(借金など)に関し、一定の限度で責任を負う。
・直接責任:社員は会社債権者の請求に直接応じなければならない。
・間接責任:社員は会社に対する出資行為を通じてのみ責任を負う。

わかりやすい例として、株式会社は「有限責任」で「間接責任」の会社です(「間接有限責任」のように略して表現されます。)。
つまり、株を買ってその会社の「社員」になり、後にその会社が多額の借金を負って破産しても、社員たる株主が何か支払いをしなければいけないということではありません。買った株式が紙切れになるというだけです。
間接責任の「出資行為を通じてのみ」というのは、株式を買うという出資行為の分のみ責任を負うということであり、その株式の価値がなくなるという以上の責任はないということです。

なお、無限責任というのは、会社のお金全部を払っても借金が払い切れない場合、自分の資産を売ってでも責任を負うということです。

話を持分会社の分類に戻します。
各会社の責任は以下のとおりです。
・合名会社:直接無限責任
・合資会社:直接責任で、無限責任社員と有限責任社員が混在
・合同会社:間接有限責任

つまり、合名会社の社員の責任が一番重いです。
合同会社は株式会社の責任と同じで、前述の社員と業務執行者が別かどうかの違いですね。

営利法人の分類は以上です。
非営利法人については、次回簡単に解説します。

ちなみに、「有限会社」というのも聞いたことがあると思います。
これは古い法律の時に作られた会社で、今は「特例有限会社」と言われており、新しく作ることはできません。
昔の法律の時に作られた会社は特例としてそのまま有限会社として事業継続していいよということです。
有限会社は非公開会社として見なされます。
全ての株式が非公開(譲渡制限付き)であり、比較的小規模の会社が多いイメージです。

投資においては株式会社しか見ることはないと思いますが、知識としてイメージを持っておくと損はないと思います。
本記事が参考になれば幸いです。



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