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【課題解決】中小製造業の技術経営 VRIOフレームワーク


中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。
今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『VRIOフレームワーク』について、ご紹介します。 

1.ポイント


内容は、『フレームワークであるVRIOを活用して、企業固有の資源による競争優位性を検討する』でした。

競争優位の持続性を決定する要因には4つあり、

①経済的価値、②希少性、③模倣困難性、④組織

また、自社の経営資源やケイパビリティ(能力)の競争上のポテンシャルを分析する上で、企業が検討するべき「問い」は、

①その企業は、保有する経営資源や能力により、外部環境における機会や脅威に対応できるか?

②その経営資源を現在コントロールしているのは、ごく少数の競合企業か?

③その経営資源や能力を保有していない企業は、それを獲得または自社内で開発する場合にコスト的に不利となるか?

④保有している、価値があり希少で模倣コストの大きい経営資源を活用できる、組織的な体制が整っているか?

とのことでした。

<出所>
Barney、「新版」企業戦略論【上】基本編、2021、ダイヤモンド社
網倉、新宅、経営戦略入門、2023、日本経済新聞

2.講義からの気づき


講義から気づいたことは、『経済的に価値のある経営資源や能力をどのように明確化するか』ということでした。

Barney、企業戦略論においては、

どれが価値があるかを知る1つの手段は、バリューチェーン分析であり、その分析を行えば、企業の経営資源や能力を分解してとらえることができる としています。

また、通常は企業が取り組んでいる個々の事業活動が、財務資源、物的資源、人的資源、組織資源のそれぞれに対してどのように関わっているかを考えるほうが有益であり、これを把握すれば、潜在的な競争優位の源泉がどこにあるかをより詳細に分析できる とのことです。

さらに、経済産業省はDXの定義として、『データとデジタル技術を活用して、競争上の優位性を確立する』としていますので、

DX導入を検討する際にも、まずは自社が優位に立てる経営資源や能力を明確化することが必要と考えられます。


3.過去の経験より


以前、勤務していた製造業において、新たな商品を開発した際、バリューチェーンを活用したことがありました。

その際、その商品の何を差別化の源泉とするか、この商品を想定したバリューチェーンを作成・検討してみました。

しかし、材料は一般的であり、装置を購入すればどの企業も製造できます。

検討の結果、商品の構造設計工程を差別化の源泉とすることとし、外部の専門家のご指導の元、シミュレーションによる構造設計のノウハウを蓄積していきました。

<参考> https://tn-ylbg.jimdofree.com/product-development021/

そして、そこから、国内、国外への知財出願による知財網を構築することにより、自社の技術的な競争上の優位性を確立することができました。

4.解決策


解決策として、バリューチェーンを作成し、競争上の優位性となる経営資源や能力が、どこにありそうなのか? または、どこに必要なのか? を検討してみることをオススメします。

過去の経験で述べたことは、差別化の源泉をどこの工程で構築していくか? でしたが、自社が保有している競争上の優位性が確立できそうな経営資源と能力はないか、一度自社のバリューチェーンを見ながら棚卸しをしてみてはいかがでしょうか?

<参考> https://tn-ylbg.jimdofree.com/product-development041/

尚、マッキンゼー・アンド・カンパニーは、企業による経済的価値の創出には ほとんどの場合、技術開発、プロダクトデザイン、製造、マーケティング、流通、アフターサービス の6つの活動が関わってくる としています。

<出所>Barney、「新版」企業戦略論【上】基本編、2021、ダイヤモンド社

5.今後の課題


自社が競争上の優位性を構築していく場合には、差別化につながる経営資源や能力が欠かせません。

それには、その源泉を、自社が現在保有している経営資源や能力に求めるのか、これから自社内で構築していくのか、のどちらかなのですが、いずれにしても、その源泉を明確化することが課題となります。

今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『VRIOフレームワーク』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。

尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。

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