グルメな夫は生姜ドリンクで夏バテから回復する
30年前の8月末、グルメな夫は赤道直下の熱帯の国、インドネシアから日本にやって来た。真冬に日本にくるより夏の方が大丈夫だろうと思っていたのだが、あまりの暑さに倒れて寝込んでしまった。以来ずっと日本の蒸し暑い夏が苦手である。
インドネシアは熱帯の国だが、グルメな夫のふるさとはジャワ島の内陸にあり、標高は今住んでいる滋賀県と同じくらい。「熱帯夜」などと言うものはない。日差しが強くて日中は30℃をこすが、朝晩は20℃くらいに冷えこむ。家屋は風通しがよく、普通の家にエアコンはない。木綿のシャツを着てすごし、汗はすぐにかわく。炎天下を走ったりすることはなく、木陰でお茶をすすりながら休む。
日本ではスーツを着て仕事に行き、汗はたらたらと流れ、帰るころにはぐったり。グルメな夫はたちまち夏バテである。インドネシアなら滋養強壮に効く飲み物が百花繚乱に存在するのだが、日本ではそうはいかない。しかし、その中でSTMJ(エステーエムジェー)は主材料がシンプルで日本でも手に入りやすい。STMJはインドネシアでは誰でも知っているインスタントの生姜ドリンク。Sは牛乳(susu)、Tは卵(telur)(生卵の黄身)、Mは蜂蜜(madu)、Jは生姜(jahe)を指している。新生姜が出回るようになると、はちみつ漬けをつくるので、4つの材料のうち2つは我が家にすでにある。そこへ3つ目の材料、牛乳を混ぜるとSTMJのような味になる。
残念なことに、グルメな夫は生乳が飲めない体質である。そこで牛乳の代わりに豆乳を入れて、これもSTMJだと称して飲んでいる。味見をさせてもらったが、STMJとは似ても似つかない味である。しかし、グルメな夫を日本の暑い夏の夏バテから救うありがたい飲み物となっている。
生姜のはちみつ漬けは、実は冬の寒さに対抗するためにつくっていたのだけれど、夏の暑さにも効くようだ。その証拠に、インドネシアでは生姜はSTMJをはじめ、はちみつ生姜ドリンクや生姜入りコーヒーに使われ、インスタントのものもたくさん売られている。牛乳に生姜というのもコーヒーに生姜というのも意外な組み合わせだが、予想を裏切ってたいそうおいしい。
グルメな夫が日本の厳しい気候に負けずに長生きできますように!
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